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久万町誌

一一 雪 害

 昭和六二年一月一二日から一四日にかけての降雪で、郡内の森林で木が倒れるなど大きな被害が出た。被害面積は六〇三㌶、被害額は八億一○○○万円で特に久万町、美川村の被害が目立った。この森林の雪害は約二○年ぶりで、林業不況に悩む林家に大きな打撃を与えている。また間伐の進んでいない森林ほど被害が大きく、今後の警鐘ともなっている。
 県松山地方局久万出張所のまとめによると、郡内の民有林五万㌶のうち被害にあったのは一万八〇〇〇㌶で、このうち被害の大きかったのは、六〇三㌶。内訳は、美川村二二四㌶、久万町一九八㌶、柳谷村六六㌶、面河村六五㌶、小旧町五○㌶。また、被害額は美川村三億五三〇〇万円、久万町三億四六〇〇万円、柳谷村六一〇〇万円、小田町三五〇〇万円、面河村一五○○万円となっている。
 今回は暖冬の影響で湿った雪が一夜に降り、久万町で五三㌢を記録するなど、近年まれにみる大量の積雪となった。このため木の頂部に大量の雪が付着、重みで根こそぎ倒れたり、折れたり、曲がったりした。久万で被害の大きかったのは、下畑野川、中野村、美川村、仕七川など標高五OO~六〇〇㍍の山林。間伐が遅れて形状比の高い二〇年~三五年の杉に被害が多く、密植のため将棋倒しのように被害が大きくなった。
 久万町では約五○万本(二万五○○○立方㍍)が被害をうけた。町の間伐材の年間出荷量の七~八割に相当する量。林業不況で間伐が進まないため、この年から町独自の除・間伐推進制度をもうけようと準備をしていたやさきの被害であった。