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愛媛県史 社会経済2 農林水産(昭和60年3月31日発行)

二 保安林制度


 保安林制度は、古く藩政時代より、御留山として、水源かん養、土砂汗止、風潮、防風林等施業に制限を加えて来たものであるが、明治三〇年に森林法が制定され、明治四〇年初めて、県に保安林台帳の整備を見、保安林の管理体制も整い、順次面積も増大し、昭和二九年に保安林整備計画臨時措置法が定められ、五ヶ年を整備期間として、保安林の指定、解除、買上、森林施業の規制等を定め、国土保全を目的として、この期間に二万三、〇〇〇haを重要河川内に指定して当時の県下民有林の約六分の一に及んでいた。
 現在、本県の保安林は県内主要河川の上流地域を中心に全県下に分布し、災害の防止、産業の保護その他の公益目的を達成するため保安機能を発揮している。
 その指定目的別面積は表1―6の通りであって、現在実行しつつある第三期保安林整備計画の終期には、民有林保安林は森林面積の約二〇%の七万八、〇〇〇haに達することになる。
 これにより、面積的にはほぼ目的に近づいているので、今後は保安林の質的な向上がまたれているところである。
 そのため、保安林指定については、従来の流域指定された大面積保安林を補完する目的で特に山地災害の危険度の高い地域や、簡易上水道の上流地域の小流域を対象にきめ細かく指定をすることにしている。
 また県民の要請の特に高い森林のもつ保健休養機能の維持増進を図るために、生活環境保全林の設置や保健保安林施設整備事業も進めている。
 更に、水需要の増大が予想される地域については、引き続き保安林改良事業、水源林造成事業を推進するとともに、健全な森林育成のための外部資金導入方法についても検討を加えている。


表1-6 保安林現況表

表1-6 保安林現況表