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愛媛県史 社会経済2 農林水産(昭和60年3月31日発行)

三 治山事業の沿革


 本県の治山事業は、明治四五年にはじまり、治水調査会を組織し、林務課長、土木課長及び両課技師をもって委員とし、内務部長が委員長となって、治水の基根を確立し、県下の山地及び河川の概況を調査した。
 同年一月、荒廃地復旧費補助規則を公布して、治水に関係ある保安林の造林及び荒廃地の復旧工事に対し補助金の下付を規定した。森林法に基づく地盤保護工事は是より積極的に実行されることになった。
 大正二年一二月、通常県会において治水事業費の継続年期及び支出方法が決定され、大正三年、県営による砂防及び荒廃地復旧工事の実施が開始された。
 大正三年より二二年に至る二〇ヵ年の長期計画は砂防並びに荒廃地復旧を併せ九六万円、金生川外一八ヶ川で、その内荒廃地復旧の分は、三八万八、五一〇円で八四二町歩の復旧目標面であった。これが本県に於ける第一期森林治水事業である。最初は瀬戸内海沿岸地帯に於けるはげ山復旧より次第に本土山間部の崩壊地並びに渓流工事に移行し、昭和一二年第二期森林治水事業の改訂後、大戦に突入、終戦後も休むことなく積極的に実施してきた。最近では、治山治水緊急措置法に基づく、昭和五七年度を初年度とする第六次治山事業五ヶ年計画が実施を開始し、山地災害の多発に対処するため山地の保全を拡充強化し、災害の未然防止と水源かん養機能の維持向上に重点をおき、第五次計画に対して一・六二倍の規模で事業を進めている。
 今後の本県に於ける治山事業の見通しは、急峻な地形と複雑な地質構造を有する本県では、林地災害の発生頻度も高く、また、地域開発の進展に伴う土砂の崩壊、流出や、松枯れ跡地における山地崩壊の危険性など、被害の発生形態も多発化、多様化する傾向にある。このような山地災害に対処していくため、荒廃地の復旧、荒廃危険地の予防、地すべり防止等の治山施設を整備していくとともに、マツくい虫被害や林野火災の跡地に対する各種の治山事業を推進し、安定した県土の保全をめざすものである。

表1-7 治山事業実施面積

表1-7 治山事業実施面積


表1-8 第5次治山事業5か年計画及び実績(昭和52年~56年)

表1-8 第5次治山事業5か年計画及び実績(昭和52年~56年)


表1-9 第6次治山事業5か年計画及び実績

表1-9 第6次治山事業5か年計画及び実績