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久万町誌

3 降水量

 降水量については、年によってその量が変化しているため、その特徴をとらえることができにくい。したがって、平年値(準平年値)によって、その傾向や特微をみていく以外に方法はない。
 久万町の降水量は、年平均二、○○○㍉㍍近く、特に一・二・一一・一二月を除いては、毎月一○○から二〇〇㍉㍍の降水量を示しており、特に六・七月の梅雨期、九月の台風期には、二〇〇㍉㍍を越し、水量はかなり豊かである。この豊かな降水量は稲作などの農作物に与える影響は、きわめて大きいものがある。
 松山市の降水量は、年平均一、三〇〇㍉㍍ほどで、一〇〇㍉㍍以下の月が久万町にくらべ多い。特に、八月の降水量が一〇〇㍉㍍を割っているのは、瀬戸内式気候の特徴で、ため池の分布に関係があった。また、稲作に与える影響には大きいものがある。
 久万町の降水量が、松山市のそれに比べて六七〇㍉㍍ほど多い理由として考えられるのは、標高が高くなるにつれて気温が下がり、水蒸気量は減少するが、石鎚山系の一、五OO㍍~二、〇〇〇㍍の山地にさえぎられて上昇気流となり、雲が多くなって降水量に影響をおよぼすということである。
 また、久万町の降水量と松山市の降水量の差は、夏は大きく、冬は小さい。これは、久万町が四国山地の谷間に位置し、夏は太平洋を通って湿潤になった南東の季節風が直接四国山地にあたって上昇し、多量の雨を降らして、上浮穴郡を通過するからである。したがって、松山市では、乾燥した季節風のため降水量は少なくなり、差が大きくなるわけである。冬は、中国山地を通過後、フェーン現象で乾燥した北西の季節風が四国地方に達するので、降水量にはあまり差が生じないと思われる。
 久万町の降水量については、一般的傾向として気温の変化と同じように夏に多く、冬に少ないということができる。

久万町と松山市の降水量

久万町と松山市の降水量


久万町の降水量 松山市の降水量

久万町の降水量 松山市の降水量