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わがふるさとと愛媛学Ⅵ ~平成10年度 愛媛学セミナー集録~

◇染織との出会い

 私は、元々愛媛県出身ではなくて、生まれは福岡で、育ちはほとんど千葉です。東京にいた10年の間に織物に出会いまして、田舎で織りをやりたいという気持ちになり、あちこちとその場所を探していたのです。その時、東宇和郡の明浜町というところで、狩浜絣(かりはまがすり)という絣があるが、今ではやってらっしゃる方がいなくて道具もたくさん残っているということを聞きまして、平成元年1月に見に行き、場所も気に入りまして、ここで織物をしようと決め、6月に引っ越して来ました。
 伊予絣は愛媛では有名ですけれども、狩浜絣というのは、初めて聞かれる方が多いと思いますが、元々は伊予絣のはね糸を使って、縦の縞(しま)に乱絣といって、雨のように線がなんとなく入っているというのが特徴なのです。
 明浜町には、古い道具などもたくさんありまして、数年前に織りをやめてしまったというおばあさんの所にしばらく通って、道具の使い方とか、糸なども分けてもらったりして、狩浜絣について勉強しました。