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愛媛県史 社会経済6 社 会(昭和62年3月31日発行)

一 女子青年団

 愛媛県連合女子青年団の結成

 昭和二年四月二九日大日本連合女子青年団が創立され、一〇月に東京において発団式及び幹部講習会が開催された。松山市では(当時処女団一一、会員数一、六四三名)この会に代表を派遣し、見聞を広めさせた。県下では翌三年一二月一日に愛媛県連合女子青年団の発団式が県立松山高等女学校講堂で挙行され、「愛媛県連合女子青年団々則」などが決議された(「愛媛新報」昭和三、三、二付)。団則によると事務所を県庁内におき、総裁は知事、団長には県学務部長、代議員に各郡市連合女子青年団長が就任し、(1)女子青年団の調査研究、(2)講習会、講演会、展覧会の開催(3)団報その他印刷物の発刊等の事業を行うことになった。
 その後の活動状況については、昭和五、六年ころの活動では「愛媛社会事業」等の記事に周桑郡女子青年団は婦人会と合同で視察旅行をしたり、喜多郡では女子青年団と婦人会の幹部が合同研究会を開催したり、一緒に総会を開く郡もあった。女子青年団は婦人会予備軍と見なされ、共同学習をする機会も多かったようである。『吉田町誌』(下巻)によると、昭和四年ごろ吉田女子青年団が創立されているが、同八年の事業計画に、四大祝日には各自神社の参拝をなすこと、四月バザーを開催すること、四月新団員募集、五月総会、講習会(料理・洗濯・和洋裁縫・染色等)、講演会(経済・育児等)、運動遠足(見学を主として)、軍人遺族の慰問、入退営兵の送迎、各種団体の社会事業の後援といった内容で、戦時色がみられる。また、同九年四月に伊予郡松前町女子青年団が県へ提出した活動状況は次のとおりである(『松前町誌』)。
 戦時体制が強化されていくなかで、昭和一六年一月一六日大日本青少年団が設立された。それにともない本県でも連合青年団、連合女子青年団を解消し、少年団を加えて青少年団として発足した。松山市の場合は、同年松山市長を団長、学務課長を副団長として松山市青少年団が発団した。下部機構は各国民学校長を単位団の団長として、各国民学校にその事務所を置いた。活動目標から戦時体制下の青少年に期待されている精神鍛練や勤労奉仕が重視されていることが知られる。

 結婚の奨励

 昭和一八年九月二二日、政府は女子挺身隊結成を命じ、二五歳未満の未婚女子を動員することに決定した。その一方で、女性は国策遂行のため人口増加に協力するという大きな役割があるとして、健全な結婚によって健康な子供を産み育てよという指導が盛んになされるようになった。同年一一月二日、県は「愛媛県結婚奨励基本要項」を定め、人口国策遂行に寄与するよう積極的に結婚することを奨励した。平均的結婚年齢を男子二五歳、女子二一歳とし、出産児数一夫婦当り平均五児に達することを目標とすることを明らかにした。物心両面から結婚奨励の成果を収めるために、県庁に中央結婚相談所を設置するとともに、市町村ならびに主要事業所などに結婚相談所を置き、結婚相談員を配備することを奨励した。これより先、今治市では「女性も一つ残らず戦闘配置へ」の号令により結婚街道進軍もまた女性の戦闘配置であるに応じて四月から準備に当たり、一一月五日「結婚相談所」の看板を今治市役所にかけて業務を開始した(「愛媛合同新聞」昭和一八、一一、九付)。

 女子勤労挺身隊

 この時期には、女性もハンマーを持てと生産工場へ女性の労働力提供が期待されるようになった。本県でも「女子勤労挺身隊」が結成されたが、これは主として女学校の同窓会から生まれた。特に、昭和一九年三月に卒業する女学生は求人割当が行われないため、進学者、身体の弱いものを除いた全員が進んで勤労挺身隊に加入することになった。彼女らの職場は航空機関工場などであった。男子と同様に機械に挑む職場が多くなるが、通勤範囲の県内工場を満した後は県外にも進出する。期間は一年の出動方針で考えている。昭和一八年に未婚女子を挺身隊として動員することが決定し、愛媛県でも、翌一九年一月一九日、愛媛県勤労動員協議会が女子挺身隊を結成し、一四歳から二五歳未満の未婚女子を対象に組織化をはかった。女子青年団員、高女の卒業生たちは国のために尽くそうと自ら志願し、兵器工場へ動員されていったのである。同年三月一〇日、県立松山高等女学校の同窓会挺身隊が東洋レーヨンと住友化学に各二〇名ずつ出動した。四月には呉海軍工廠へ七五名が出動した。彼女らは「直接航空機生産に従事したい、そのために県外へでも進んでいく。生半可な男子の代替職種へなどは嫌です」と男子と同様に軍需生産工場への派遣を要望していると当時の新聞は伝えている(「愛媛新聞」昭和一八、一二、一〇 同一九、一、二五)。一層女子挺身隊員の働きが過酷になっており、勤労は終戦の日まで続けられた。

女子青年団

女子青年団


表2-5 松山市青少年団の概要

表2-5 松山市青少年団の概要