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愛媛県史 社会経済6 社 会(昭和62年3月31日発行)

三 環境衛生関係営業の取締り

 宿屋営業取締規則

 宿屋営業の取り締まりは、防犯の観点から警察行政の一分野として行われた。本県では、四国遍路規則の必要などから明治六年七月に「旅籠屋渡世心得」を定めて宿泊人の届け出を義務づけていた(資近代1二二九)。政府は明治二〇年一〇月「宿屋営業取締規則」を公布して、旅館業の本格的な取り締まりを指示した。県はこれに基づき翌二一年一月二三日に「宿屋営業取締規則」を布達した。同規則は宿屋を旅人宿と木賃
宿に分け、規則の中に宿泊人が疾病にかかったときは懇切に取り扱い、伝染病と認められるときは速やかに警察に届け出ること、客室は十分に光線を取り空気を流通させること、便所は客室に臭気が及ばないところに設け、日々清潔に掃除をすることなどの衛生条項を含んでいる(資近代2 五五九~五六一)。
 「宿屋営業取締規則」は明治三四年八月二九日に新しいものに変わり、便所は時々防臭剤を撒布し夏秋の候は消毒を行うこと、伝染性疾病に罹った者に来客に供すべき飲食物の調理に従事させてはならない、寝具は清潔を主とし時々日光消毒を行うことなどの防疫・衛生条項を加えた。

 興行場営業取締規則

 興行場の取り締まりについては、愛媛県は明治二四年八月二二日に「劇場寄席興行場取締規則」を制定、営業許可手続、構造、防火施設などを規制した。衛生事項としては空気の流通をよくすること、便所は臭気の客座に及ばない所に設けること、客席便所は常に清潔に掃除することなどと指摘した(資近代3一三三~一三五)。この規則は、明治三四年四月六日に「劇場取締規則」と「興行取締規則」に分かれ、劇場・興行場の内外は常に清潔にし、便所は毎日掃除し一回以上防臭剤を撒布せよなどと指示された(資近代3 三三一~三三五)。

 湯屋営業取締規則

 本県最初の「湯屋営業取締規則」は明治二四年一〇月二二日に布達された(資近代3 一〇五~一〇六)その後、同三四年四月六日に新しい「湯屋営業取締規則」に改められ、汚水排出路は切石か漆喰で一〇〇分の一以上の勾配をつけ、汚水は下水溝まい、洗滌場は洗髪洗面などに使用した水が地中に浸透しないよう構造に注意する、常に消毒薬を入れた痰壷を備えておく、営業者は清潔な白布の上衣を着ること、椅子は清潔な白布でミソリなど使用器具は理髪をするごとに消毒することなど、清潔を旨とする営業だけに衛生面からの細かな指示を列挙した(資社会経済下七三三~七三四)。