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愛媛県史 地誌Ⅰ(総論)(昭和58年3月31日発行)

第四節 人口地域区分

 区分の方法

 愛媛大学地域区分共同研究グループは、人口に関する五つの指標として、人口分布と人口密度、出生率と死亡率、人口増減型、老人人口比率、出稼ぎ率の推移を用いて愛媛県の人口地域区分を試みている。県内市町村単位として、最終地域区分に際しては、各指標ごとにプラス因子とマイナス因子を設定した。人口密度では一k㎡当たり三〇〇人以上の市町村をプラス因子と考え、五〇人未満をマイナス因子とした。人口増減型では、昭和三五年以来増加傾向ないしは途中から増加に転じて、五五年までに三五年時点にまで回復している市町村をプラスとし、三五年以来減少傾向にある市町村をマイナスとした。出生率と死亡率の差である人口の自然増減では、多産少死型で四%以上の増加の市町村をプラス、少産少死型で減少の市町村をマイナスとした。人口増減型や死亡率の関係から老人人口比率を指標にとり入れ、一二%未満をプラス、一五%以上をマイナスとした。また、昭和三五年から五〇年までの間、日本経済の変動、とりわけ地方農山村社会を大きく動かしたものに出稼ぎ現象があった。そこで、四〇年・四五年・五〇年の各市町村の出稼ぎ率がいずれも五%未満の場合にプラス、一度でも五%以上の時期をもつ市町村をマイナスとした。 こうした各指標のプラス、マイナス因子の組み合わせにより人口地域区分図を得た(図3-17)。大別すると、発展型・衰退型・中間(漸移)型に区分されるが、発展型はさらに、人口増加・発展型(都市型)と準発展型に、衰退型は人口減少・衰退型と人口停滞・準衰退型とに区分され、中間(漸移)型を合わせると五つの類型となる。以下、この五類型の組み合わせにより区分された一三の地域について概説する。

 地域の特色

 東予沿岸地域―川之江市から新居浜市・西条市・今治市を経て大西町に至る地域で、人口増加・発展型が多く、土居・小松・波方の三町が準発展型である。商工業活動の活発な地域でもある。
 東予山間地域―衰退型の新宮村と準衰退型の別子山村からなる地域で、東予の山間僻地である。
 東予島しょ地域―大変複雑な地域で、上述の五類型がすべてみられる。すなわち、発展型の生名村、準発展型の弓削町と伯方町、中間型の魚島村、準衰退型の上浦町・宮窪町・伯方町、衰退型の大三島町と関前村である。特に伯方町は人口増加傾向や出稼ぎ面ではマイナス要素が強いが、人口密度や老人人口比率ではプラス要素が強くあらわれ、双方の類型に属する。
 東予・中予漸移地域―いわゆる東予と中予の漸移地帯として区分される地域で、菊間町・玉川町・朝倉村・丹原町を結ぶ中間型地域である。
 松山地域―松山市を中心とする発展型(都市型)の地域で、北条市と砥部町の準発展型を含む。県都松山市とその周辺の人口増加地域、ベッドタウン地域である。
 中予島しょ地域―人口減少傾向と老人人口比率の高い準衰退型の中島町の地域である。
 中予山間漸移地域―松山地域と中予・南予山間地域との漸移地帯を形成する川内町・久万町・中山町の中間型地域である。
 中予・南予山間地域―山間地域であることが共通し、いわゆる中予・南予の境界は区分しがたい。そのうち、面河・美川・柳谷・広田・河辺の各村と城川町が衰退型で、他はすべて準衰退型が連続する地域である。その面積は一、三九五k㎡にもおよび県下の二四・六%にも達する。この地域は人口減少傾向、低い人口密度、人口の自然減少、高い老人人口比率、出稼ぎ常習地帯などで共通し、人口面でのマイナス要素が大きい。
 伊予灘沿岸地域―双海町と長浜町が属し、中間型である。
 南予内陸地域―大洲市・五十崎町・宇和町・三間町・松野町と続く南予の内陸農村地域にあり、いずれも中間型である。
 南予都市地域―八幡浜市・宇和島市と吉田町が属し、南予では数少ない準発展型地域で、南予の核的存在である。
 南予沿岸地域―一口に南予沿岸といっても佐田岬半島から宇和海沿岸を経て西海町に至るまで広範囲におよぶ。したがって、衰退型の瀬戸町・三崎町・明浜町、準衰退型の三瓶町・内海村・西海町、中間型の保内町・伊方町を含む、いわゆる南予の段畑地帯といえる地域である。
 南予西南地域―中間型に属する津島町・御荘町・城辺町と準衰退型の一本松町からなる地域である。

図3-17 愛媛県の人口地域区分

図3-17 愛媛県の人口地域区分