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愛媛県史 地誌Ⅰ(総論)(昭和58年3月31日発行)

1 愛媛をとりまく海と山

愛媛の土地

 ユーラシア大陸の東側に位置する日本列島は、太平洋に面して弓なりに連なる大小多数の島々によって構成されている。この日本列島のうち、四国は、本州、北海道、九州に次ぐ第四位の面積
を占めている。四国には愛媛県をはじめとする四県があり、愛媛県は、四国の北部から西部にかけての地域と、瀬戸内海、豊後水道に散在する大小二〇〇余の島々から成り立っている。総面積は五六六七k㎡で、これは四国の約三分の一にあたる。県域のうち島の面積は約二三〇k㎡で、全県の約四%を占めている。
 愛媛県の土地は二つの顔を持っている。一つは越智諸島や忽那諸島、松山平野や今治平野に代表される海に面した土地としての顔であり、他の一つは石鎚山や面河渓に代表される険しい山地と山々に囲まれた土地としての顔である。愛媛県の地形は全体的に山がちで、四国の脊梁をなす四国山地には石鎚山(一九八二m)をはじめ、多くの山々がそびえている。これらの山々からは肱川・重信川・面河川・銅山川などの河川が流れ出し、流域には盆地や平野が発達している。盆地の多くは肱川や四万十川支流の吉野川流域に発達し、平野の多くは県内北部に片寄って分布する。また、海岸線の長さは一五六一㎞に達し、北海道・長崎県・鹿児島県・沖縄県に次いで全国第五位である。

 四国山地と中国山地

 中国・四国地方を概観すると、四国の中央には四国山地が、中国地方の中央には中国山地がそれぞれ東西方向にのびている。さらに、近畿の北部には丹波山地、南部には紀伊山地がともに東西方向に走り、九州北部には筑紫山地、中・南部には九州山地が分布する。これらの山地を構成する山の高さに注目してみよう、四国山地では石鎚山・剣山(一九五五m)をはじめとして一八〇〇m以上の山々がいくつもそびえている。
 これに対して、中国山地では、火山である大山(一七一一m)を除くと、一五〇〇m以上の山は鳥取県と兵庫県の県境にそびえる須賀ノ山(一五一〇m)だけで、その他の山々はいずれも一三〇〇m以下と、四国山地に比べてかなり低い。
 また、高さだけではなく、険しさも著しく違っている。四国山地は荒々しく雄大、中国山地はなだらかで女性的である。このような高さや険しさの違いは近畿や九州でも認められ、北側の山地と南側の山地の地形的な違いということでとらえることができる(図2―1)。

 四国をとりまく海

 日本列島は太平洋と日本海にはさまれて弧状に連なっている。この日本列島を更にいくつかの島々に分けて内海や海峡(水道)が存在する。西南日本では、中国と四国を分ける瀬戸内海、四国と近畿とを分ける紀伊水道、四国と九州とを分ける豊後水道がこれにあたっている。瀬戸内海は東西方向にのび、紀伊水道・豊後水道は南北方向にのびている。瀬戸内海ののびる方向はすでに述べた山地の走向と同じであり、紀伊水道と豊後水道の方向は紀伊山地や四国山地・九州山地ののびる方向に直交し、それらを分断している。

 島と灘の分布

 瀬戸内海では、島の集中する地域と島がほとんど分布しない地域とが比較的はっきり分かれている。島の集中する地域は「諸島」とよばれ、島のほとんど分布しない地域は「灘」とよばれている。島の多い地域としては、愛媛県に属す大三島や大島・伯方島・弓削島・岩城島などと広島県に属す生口島や因島などを含む芸予諸島、中島や怒和島のほか山口県の大島(屋代島)などを含む防予諸島などがある。また、灘とよばれる海域として、愛媛県には燧灘・斎灘・伊予灘などがあり、山口県の南には周防灘、広島県の南には安芸灘・備後灘、その東には小豆島と淡路島の間の播磨灘が分布する(写真2―1)。
 これら瀬戸内海の諸島と灘の分布は、四国の形と関係が深い。すなわち、四国は中央部で南北がくびれた形となっているが、このくびれの部分―伊予三島市から西条市にかけて―の沿岸には燧灘や備後灘がひろがり、四国の突出部―今治市を中心とする高縄半島地域―の北側には多数の島があって諸島を形成している。

図2-1 中国・四国地方の地形概観

図2-1 中国・四国地方の地形概観


図2-2 愛媛県の地形名称

図2-2 愛媛県の地形名称