データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

えひめ、昭和の記憶 ふるさとのくらしと産業Ⅸ -砥部町-(平成27年度「ふるさと愛媛学」普及推進事業)

第2節 山間部の農林業と人々のくらし

 旧広田(ひろた)村(現砥部(とべ)町広田地区)は、砥部町の南部に位置しており、東は久万高原(くまこうげん)町、西は伊予(いよ)市、南は内子(うちこ)町に接し、四方を800mから1,000m級の山嶺に囲まれた山間地域である。主として標高400m以上の地域が84%を占め、その約90%は15°以上の傾斜地となっている。総面積の80%以上を森林が占め、スギ、ヒノキ、クヌギなどの山林が広がっている。
 旧広田村では、昭和30年代まで林業が盛んであったが、電気やガスの普及に伴う木炭需要の激減や木材価格の低迷に加え、豪雪による被害なども重なって、次第に振るわなくなった。これに代わって、葉タバコやシイタケといった換金作物の生産が盛んとなり、農林家の貴重な収入源となった時期もあったが、健康志向の広がりなどから葉タバコはほとんど作られなくなり、シイタケも価格低迷の影響などから生産量は減少傾向にある。近年は、県下一の消費地である松山(まつやま)市まで車で50分という立地条件を生かして、シイタケに加えてクリ、ユズ、高冷地野菜などが生産されているほか、美しい景観を生かした観光業も行われている。
 本節では、果樹栽培を中心とする農業と人々のくらしについてAさん(昭和11年生まれ)から、シイタケ栽培を含む林業と人々のくらしについてBさん(昭和4年生まれ)から、それぞれ話を聞いた。