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宇和海と生活文化(平成4年度)

第1節 歴史と地域をリードした人々

 この節では、1として「西南蘭学の先覚者たち~二宮敬作を中心として」、2として「南予綿業と地方自治に尽くした酒井宗太郎」を取上げ、彼らが宇和海沿岸地域・南予地方における生活文化の発展に果たしてきた役割に光を当てた。
 まず、幕末における宇和島藩の蘭学は、伊達宗紀・宗城など開明的藩主による藩政改革の中で花開き、この地域の知的風土を醸成して時代の先端に立った。
 その代表者である二宮敬作は、時代の激流の中で蘭方医として、地域のためにどのような歩みと姿を示したか。さらに、今日における地域の生活文化の中にどのように生き続け、地域活性化の精神的な支えとなっているか。二宮敬作を中心として幕末の歴史に光彩を放つ蘭学者の群像の生き方を具体的に描いた。
 次に、「南予綿業の父」といわれ、大正時代から昭和時代前半にかけて、八幡浜地方を中心とする綿織物業と町村合併など地方自治の発展のために全力を尽くした酒井宗太郎は、どのような歩みと姿で地域発展の礎となったか。さらに、その多様で豊かな人間性と実行力によって、どのように人生の道程を歩んだか。今日の地域の活性化における意義とともにその生き方を振り返ってみた。