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宇和海と生活文化(平成4年度)

第2節 二つの海に挟まれて

 メロディーラインの名所の一つ「堀切大橋」からは、瀬戸内海(伊予灘)と宇和海の両方を一望することができる(写真3-2-1参照)。地元では、佐田岬半島の北部(瀬戸内海側)をウワテ、南部(宇和海側)をシタテと呼んでいる。半島の中でも最も幅の狭いこのあたりは、わずか800m程の近距離にもかかわらず、展望する左右の天気がはっきりと明暗を分けていることもある。この半島の存在によってウワテとシタテの自然に大きな差異がもたらされていることが実感できる一例である。
 この節では、多様な半島部の暮らしの中でもウワテとシタテの自然の違いに由来する生活について、瀬戸町を中心に取り上げてみたい。
 佐田岬半島のほぼ中央に位置する瀬戸町は、隣接する三崎町・伊方町と異なり、ウワテが凸凹の多いリアス式海岸、シタテは比較的単調な砂浜の多い海岸線で構成されている。従って、集落もウワテは入江ごとにこぢんまりと形成され、ひときわ大きい三机(みつくえ)湾には、大きな集落が形成され、現在の瀬戸町の中心となっている。それに対して、シタテでは砂浜に沿って広がりのある集落が形成されている。
 このような自然環境の違いに由来するさまざまな生活の違いについて、瀬戸町に暮らす人々から聞き取った話を中心に、以下にまとめる。

写真3-2-1 堀切大橋(左側が瀬戸内海、右側が宇和海)

写真3-2-1 堀切大橋(左側が瀬戸内海、右側が宇和海)

平成4年12月撮影