データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

宇和海と生活文化(平成4年度)

第2節 農家のくらし

 宇和海沿岸部一帯の農家のくらしを語るとき、どうしても切り離せないのが段々畑との関係である。見た目には美しい段々畑の景観にも、生活する側に立って一歩足を踏み入れてみると、平坦部の水田地帯では考えられない、厳しい生活の歴史があった。
 1の「段々畑農業に生きる」の項では、段々畑の発展過程や栽培作物の移り変わりをとおして、その歴史的な特質と急傾斜地帯という立地条件の中で、農業の営み、人々のくらしを追ってみた。
 2の「夏柑づくりに生きた道」の項では、かつて、「陸の孤島」と呼ばれた佐田岬半島の岬端に生きた人々が、へき地という立地条件を乗り越え、地域特有の防風対策に心を配りながらも全国にその名を知られた「三崎夏柑」の黄金時代を築いた先人たちの努力と、現代に生きる人たちの歩んだ道を振り返り、生産の仕組みや、そのくらしの中から、今後の「三崎農業」のあるべき姿や、新しい時代のくらしづくりについて、人々との対話をとおし整理した。
 3の「日本一の温州ミカン作り」の項では、湾奥としての真穴地域に焦点を当て、半農半漁の一寒村に過ぎなかったこの地域が、どのようにして「ミカン作り日本一」の銘柄産地に発展したのか、そこに息づく人々のくらしや、ミカン農業との取り組みをとおして、地域としてのまとまり、優れた販売戦略、その裏付けとなる努力の積み重ね等、栄光に至る「柑橘農業100周年」の歩みと、人々の生きざまをたどってみた。