データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

えひめ、人とモノの流れ(平成19年度)

(2)ホームステイと前夜祭

 中島大会では選手は大会前日からの現地宿泊が原則になっており、宿泊先は希望に応じて旅館、民宿、ホームステイ、公民館などとなっている。このうちホームステイ形式で選手を受け入れるのは中島大会の特色の一つである。また、大会前日の夕方からは選手同士の親睦(しんぼく)や地域との交流を深めるための前夜祭を毎年開催していることも特色である。ホームステイや前夜祭の様子について話を聞いた。
 「選手をホームステイの形で受け入れるようになったのは、3回大会(昭和63年〔1988年〕)からです。しかし、何せ当時は初めてということで、結局、地元の町会議員や地区の区長さんをはじめ、各団体の関係者の皆さんに町のためにと無理を言って引き受けていただいて始まったのです。
 そうやって始まったのですが、20数年にわたって続いてきた大会で実際毎年受け入れてくださった御家庭では、例えば初めてホームステイされたときに独身であった選手が、翌年に付き合っている方を連れてこられ、次には結婚されて夫婦でやってきて、そして次には生まれた子どもさんを一緒に連れてきたりというようなことがおきています。また、冠婚葬祭の案内を受けるまでになった御家庭もあり、あたかも親戚づきあいのような感じで選手を受け入れているところもあるのです。選手の中には『今年もよろしくお願いします。』といってホームステイ先の御家庭に選手選考の結果通知が届く前に直接連絡されている方もいらっしゃいます。
 前夜祭については、1回目から実施してきました。料理などの会費をいただいていますが、中島の土地柄でしょうか、それ以上のものを出してしまうので、後でいろいろと問題になったこともあります。前夜祭では、各地から集まってきた参加者の皆さんたちが親睦を深めるばかりでなく、こちらとしては、地元の特産品を紹介したりしながら、交流と地域の活性化を目指しています。例えば、当日の地元特産品を使った料理の準備では、9回大会までは商工会の女性部にお願いして料理を出してもらっていましたが、10回大会からはすべて地元の業者を通じて提供するようにしました。そうすることによって、地元の経済が潤うわけです。」
 前夜祭に参加していた50代の男性選手(松山市)に聞くと、次のように話した。「中島の人たちがおいしい料理をたくさん用意してくださって、『よく島に来てくださいましたね。』という気持ちで迎え入れてくれていることに感謝しています(写真4-1-4参照)。前夜祭は2時間余りですが、その間参加者はだれもがいわば裃(かみしも)を脱いで語り合うような雰囲気ですね。おいしい料理を食べたり、心地よい程度にお酒も飲んだりしながらの歓談はとても楽しいです。何度も参加していると、この雰囲気が当たり前のように思えてきます。でも、他地域の大会にも出場されている選手や初めての方からは『こんなふうに迎えていただけるなんて、本当にありがたい。』というような声を必ず、それも毎回聞くにつけ、やっぱり温かいもてなしのなかで多くの人たちとの交流を深められるという魅力が、中島の大会にはあるのだなあと改めて感じています。」と話す。

写真4-1-4 ようこそ中島へ(前夜祭)

写真4-1-4 ようこそ中島へ(前夜祭)

松山市長師(中島)。平成19年8月撮影