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えひめ、子どもたちの生活誌(平成18年度)

(2)核家族化と人間関係

 『数字でみる日本の100年 改訂第5版(①)』によると、1世帯あたりの人員が、戦後は昭和25年(1950年)の5.02人をピークとして、年々減りつづけ、平成17年(2005年)には、2.58人まで減少していることがわかる。
 わが国では、高度経済成長期に大都市やその周辺地域への著しい人口流入が起こり、核家族(夫婦と未婚の子どもからなる世帯。あるいは両親のうち、どちらか一方の親と未婚の子どもからなる世帯のこと)化が進行するなど世帯数が増加したものの、単独世帯の増加や出生率の低下などにより世帯規模については、縮小を続けている。
 1世帯あたりの人員、言い換えると1家族あたりの構成員が減少するということは、いったいどのような影響を家族内の人間関係にもたらすのだろうか。
 図表序-4は、1世帯あたりの人員と、その内部の人間関係の総数について示したものである。1世帯あたりの人員が「3」、例えば両親と子ども一人、祖父と夫婦などという場合で考えると、両者の人間関係は3通り成立する。また、「5」の場合なら、両親と子ども3人、祖母と両親と子ども2人などという場合で、そこには10通りの人間関係が成立するわけである。ということは、昭和25年(5.02人)と平成2年(3.01人)の40年間の間に家族内の1対1の人間関係が10通りから3通りに減ったことを意味しているのである。
 東京大学社会心理学研究室で核家族化や少子化の影響について調査研究した馬場優望氏は、次のように指摘している。

   「家族構成員の減少は、家庭内人間関係を単純化させ、家族間における他者間の葛藤(かっとう)観察や対立・共同などの
   関係づくりの経験が難しくなる。子どもが社会化の過程で必要とする、家族集団における成員間のコミュニケーションの
   回路は、親子間の双方向に限られるよりは、親子・兄弟・祖父母と孫といった多岐に渡るものが用意されていることが望
   ましい。しかし、核家族においては、この回路が親子・兄弟だけに限られてしまう。これにより、親子間・兄弟間の回路
   がより確実なものである必要性が生じるが、子守の経験の乏しい若い親たち、子育ての助言者としての祖父母のいない核
   家族においては、それも難しく、少子化と相まって、過保護・過干渉・母子密着などの問題が生じることも珍しくない。
   (②)」

 現在頻発している青少年や家族が抱えている様々な問題の背景の一つに、戦後から高度経済成長期を経て急速に進んだ少子化や核家族化の影響があるといっても過言ではないのである。

図表序-4 1世帯あたりの人員と人間関係の増減

図表序-4 1世帯あたりの人員と人間関係の増減

ただしnは2以上の整数。