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えひめ、昭和の記憶 ふるさとのくらしと産業18ー宇和島市②―(令和2年度「ふるさと愛媛学」普及推進事業)

第3章 沿岸部の産業

 宇和島(うわじま)市の面する宇和海沿岸部では、愛媛県のミカン発祥の地である旧吉田(よしだ)町立間(現宇和島市)を中心に、傾斜地を利用した柑橘(かんきつ)栽培が主産業となっている。旧宇和(うわ)町(現西予(せいよ)市)と接する法花津山脈は、吉田町がある南側では急崖をなしており、その急崖が柑橘栽培に利用されている。
 宇和海沿岸部のもう一つの主産業は漁業である。宇和海は江戸時代中期には西国第一のイワシ漁場であった。しかし、昭和30年代に入って、イワシの不漁からイワシ網漁業は急速に衰退していき、イワシ網漁業に替わって真珠とハマチの養殖漁業が盛んとなった。
 旧吉田町は、昭和30年(1955年)に1町4か村と高光(たかみつ)村の知永地区が合併し誕生したが、そのうち、旧玉津(たまつ)村の領域は玉津地区と呼ばれ、法花津、深浦、白浦の3大字がある。
 本章では、旧吉田町の玉津地区を中心に、沿岸部で柑橘栽培や養殖漁業に従事した人々の、地域の産業とともにあったくらしや思いについて、その一端を明らかにした。