本章では、北条市と菊間町の境の窓坂から徳島県境境目(さかいめ)峠までの遍路道を取り上げる。この遍路道は斎灘(いつきなだ)沿いの町を過ぎ、今治平野とその周辺山麓を経て周桑平野へと進み、やがて石鎚山腹の横峰寺への険しい山地を上る。下って平地に戻り、燧(ひうち)灘に面した町々を通過し、伊予三島の「へんろわかれ」までは比較的平坦な道を歩み、三角寺や法皇(ほうおう)山脈の県境越えは高峻な山道となる。海辺・田園・山地と三様の表情を見せる遍路道である。