データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

四国遍路のあゆみ(平成12年度)

第1節 四国八十八ヶ所のおこり

 日本を代表する巡礼である四国遍路は、弘法大師空海が修行したという八十八のゆかりの地を巡るものである。しかし史実の上から見ると、数か所(寺)を除いて空海とのつながりははっきりしない。四国遍路を空海が開創したという縁起は、歴史的には容認しがたいというのが今日の定説となっている(①)。しかし、それにもかかわらず今日でも多くの巡礼者が空海を慕って四国を巡っているし、また空海を巡る伝説や奇跡は四国遍路の随所に充ち溢(あふ)れている。このことは何を意味するのか。また何に起因するのか。四国遍路という巡礼を理解することは容易なことではない。
 ここでは、四国八十八ヶ所の起源をどこに求めることができるのか、さらには四国霊場八十八ヶ所はいつごろから成立したのかなど、四国八十八ヶ所のおこりにかかわる諸問題を取り上げ、整理したい。