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柳谷村誌

第三節 排水事業

 水は自浄という大いなる本性をもつ。排水は水との隔絶でなくて、水の自浄への期待であるべきと思う。導水への大いなる関心、排水への全くの無関心、この気まぐれさが、水からの報復に泣く我々の愚痴であるかに思われる。
 急傾斜で、地すべり性の地肌、密な谷川分布、居宅地と農用地の混在するわが村の生活環境。集落排水と農用地排水との連関、そして谷川への連繋、これに加算される計算外の雨水、これに自乗作用する開発文明、年ごとくりかえす破壊と修復。ここに我々の生活環境をつくる排水対応のむつかしさがある。水は真に親愛すべく畏敬すべきで、そしてこそ、謙虚な排水事業の推進が行われてゆく(図表 排水路改良状況表)。

 集落排水施設

 集落が点在しているので、各居宅の生活用水や雨水を排水する施設を効率化するのはむつかしい。道路の側溝や、農用排水路などへの自然的利用に便乗している現状である。

 農業用水排水施設 

 農用地は集落と混在している。農業用水排水施設は、近接集落排水との関連の上に、その施設事業を進めている。

 谷川排水施設 

 わが村は、壮年期の地形年齢である。活力溢れる若者をほうふつさせる。谷川の密度は極めて高い。きめのいい健康色を表情しているよう。その若々しい面立からこぼれるようなせせらぎは、柔和な村のくらしのリズムを奏でてくれる。わが村の谷川は、つねづねは微笑む谷川なのである。この面立に文明色の化粧が施される。出番待ちの名優谷川は、天候異変の開幕に応じて、怒号狂乱する暴漢を演出する。わが村の谷川は、ことあらば怒る谷川でもある。谷川排水施設は、怒る谷川に送る和解のシグナルであろう(図表 河川排水施設改良状況表)。

排水路改良状況表

排水路改良状況表


河川排水施設改良状況表

河川排水施設改良状況表