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双海町誌

第二節 動物

 温暖な気候と緑豊かな山野に恵まれた本町には、動物の種類も多い。

 家   畜
 近代以前には、農耕や運搬のために牛と馬が主要な家畜として数多く飼育されていた。しかし、大正時代から道路が順次開通し、昭和二十年代前後に自動車が進出するようになり、次第に馬が姿を消した。その後、町内の農家では、農耕と仔牛の生産のために牛だけを飼育する時期がしばらく続いた。本町産の牛は、「灘牛」と呼ばれて需要が多かったが、一九六五(昭和四十)年ごろから農耕用機械が普及すると、牛もまた目にすることがなくなった。なお、太平洋戦争後、ヤギやヒツジ、ウサギが飼育された一時期があるが、経済成長期を迎え食糧や生活物資が豊富になるにつれて、その愛嬌ある鳴き声もやがて聞かれなくなった。

 家   禽
 少数のニワトリ、チャボ、ウズラ、アヒルなどを自家用に飼育する家がかつては多かったが、近年極めて少なくなった。

 養蚕・養蜂
 一九四〇(昭和十五)年ごろまで盛んだった本町の養蚕は、新たに発達した化学繊維に圧倒された。養蜂も、かつては農家ごとに数個の巣箱を見かけるほどだったが、最近はそれも著しく減少した(養牛、養豚、養鶏、養蚕の詳細は、第三編第三章に記述)。

 野生動物
 哺乳類では、ウサギ、キツネ、イタチ、テン、ムササビ、ハクビシン、キツネ、リス、野ネズミなどが棲息している。近年イノシシが異常繁殖し、農作物に多大の被害を与えている。鳥類では、キジ、ヤマドリ、ハト、モズ、メジロ、スズメその他、多くの種類が棲息している。少数ながら、タカやトビ、ウグイス、サギ類も見られる。また、一九一九(大正八)年に狩猟用として放鳥した中国産のコジュケイが、町内の山野全域に繁殖している。渡り鳥としては、初夏に訪れるツバメと、初冬に飛来するヒヨドリがあげられる。ただし、山がスギやヒノキに覆われたせいか、年々その数は減る傾向にある。なお、カラスが農作物に害を与えることは昔と変わらないが、近年は家庭から出される生ゴミを食い荒らすことが多くなってきた。そのために、集積場を鉄格子や網などで囲って防護も行っている。

爬虫類その他
 トカゲ、ヘビ類が棲息し、毎年数件マムシ(通称ハメ)の被害がある。ムカデ、クモ類、昆虫類も多く、住宅地、田畑、山林、川辺など、あらゆる場所で、多種多様な生命の営みが繰り返されている。

 淡水魚その他
 町内の小川には、カワムツ(通称ハヤ)、フナ、ウナギ、カジカガエルなどが生息するが、やはりその数は減っている。また、上流にはサワガニ、下流域にはモクズガニ(通称川ガニ)が見られ、ゆるやかな流れの小石の下には、ケラ類が潜んでいるのが見つかる。初夏にはアユが上灘川や豊田川を遡上し、近年ではアユの放流も行われ、地元の釣り人を喜ばせている。昭和四十年代には、用水池や水田を利用してコイの養殖も行われていた。

 海産動物・植物
 本町の沿岸や沖合に棲息する魚介類は、多種多様である。漁獲方法が機械化されたことなどにより、数量は年々減少しているが、分類すれば次表のとおりである。

海産動物と植物

海産動物と植物