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中山町誌

一、 地名の意義

 元来地名というものは、ムラの発生発展の伝承などに深く関わっていて、発生の時期を特定でき難いため、由来をさぐることは容易にできるものではない。
 地名は、気候・地形などの自然環境や、土地を舞台として生活してきた人々の文化・歴史などが重なり合い、混り合ったものの中から生まれたものと考えられる。従って地名は、その土地の全体的な感じを表し、地域の歴史を物語り、それらの様子を地名という形で説明しているものと思われる。
 地名というものをわれわれの身近なものとして、その発生を考えてみたい。
 古老などの話によると、「地名は集落らしきものができてから、誰いうともなく自然に呼びならわされてきたのではないでしょうか」「大昔から、土地の様子や自然のありさまから、名がついたもので、その起源は、はっきりしないのでは……」といわれる。これらのものが、長い間、文字に書き記されて定着し、固定されてきたと考えてみるのが適当であろう。
 もちろん、長い間には意図的な地名の変更も考えられる。領地の支配上の必要から、名付けられた地名がある。新しい集落の発生により誕生した地名もある。縁起をかついで新地名を名乗ったところもあろう。また、その名についても、できるだけ佳い字をあてて、もとの名を捨てたところもある。
 ただ、地名はこのように変更される場合もあるが、僅かな例外はあるとしても、何百年も強固に継承されているものである。このことは、多くの文献で説かれている。
 これ故に、地名は中山町の歴史の上からも、地理的見地からも、重要な役割を担っているものといえる。地名を探究することによって、郷土の様子、その移り変わりを知ることができる。しかし、前述のように、地名そのものは、この集落の形成当時から、または古くから発生しているものであり、容易にその謎が解明できない面もある。今回、短い時間の調査で不十分な面もあるが、現在わかる範囲で記述することにした。