データベース『えひめの記憶』
中山町誌
一、 中山町の土壌分布
土壌は、農林業にとって最も大切な要素の一つである。また、土壌は、地質と深い関係があり、同時に原岩の風化などによる破砕片や、動植物の分解によって生じた有機物の含有量などによって、細かく区分されている。
図4-9は、愛媛県の土地分類基本調査(大洲・久万・郡中・松山南部)の土壌図から作成した中山町の土壌図である。
中山町内は、そのほとんどが山地であり、結晶片岩を母材とする褐色森林土壌(秋葉一統、秋葉二統、秋葉三統)と、黄褐系褐色森林土壌(恋の木一統、恋の木二統)によって広く覆われている。
山腹緩斜面などには、加周統と呼ばれる黄色土壌が各所に分布している。
北部の佐礼谷地域と重藤には、結晶片岩を母材とする礫土壌の千原統とよぶ黄色土壌が、崩積性堆積様式を示しながら急傾斜斜面に分布している。
高岡一帯は、喜多山統とよばれる微粒質の黄褐色土壌が分布している。
秋葉一統は、結晶片岩を母材とした乾性褐色森林土で、山頂部や山腹小尾根の稜線から凸斜面にかけて分布している。
秋葉二統は、結晶片岩を母材とした弱乾~適湿性の褐色森林土で、秋葉一統より湿った環境下にあり、山腹斜面から谷筋に広く分布している。
秋葉三統は、北面の山腹斜面下部および谷ぞいの凹斜面に局部的に分布する、結晶片岩を母材とした弱湿性の褐色森林土で、湿った環境下にあるために落葉の分解もすすんでいる土壌である。
恋の木一統は、低い山地の山頂から山腹上部にかけて分布する結晶片岩を母材とした乾燥性の黄褐系の褐色森林土である。
恋の木二統は、低い山地の山腹から谷筋にかけて分布する結晶片岩を母材とした弱乾~適潤性の黄褐系褐色森林土である。
加周統は、微粒質~細粒質の黄褐色土壌で、低い山地の山腹緩斜面に分布している。
中山町では、土壌の特性を生かし、スギ・ヒノキの植林地として、また、クリ・ミカンなどの果樹園、タバコ・野菜栽培畑として、適地適材の営農努力がなされている。