データベース『えひめの記憶』
中山町誌
二、 中山町の災害の概要
中山町の自然災害は、地形・地質などから考えると、土砂災害が最も懸念されている。
町内の、ほぼ全域を覆う三波川帯は、日本における代表的な地すべり多発地帯であり、中でも緑色片岩地域や黒色片岩地域に多い。
三波川帯の地すべり地は、谷底からはるかに高い山腹急斜面で、畑中心に土地利用されている、比較的厚い風化崩積土層などで発生している。急傾斜地の礫質土であるため、多量の降水時に崩壊を起こすことがある。地すべり地の斜面が長い場合、上方の地域を含めると集水量が多くなり、地下水位が急激に上昇し、高い地下水位の区域の間隙水圧を高めて、地すべりが発生すると考えられている。
町内には、災害の発生が予想される箇所も少なくない。建設省指定の地すべり防止地区が二ヶ所、農林水産省構造改善局の指定が一七地区、愛媛県指定の急傾斜地崩壊危険区域が三ケ所もあり、中山町が行った、がけ崩れ危険箇所調査では自然斜面で二六ヶ所もある。それらの指定面積は、およそ一〇平方キロメートル以上となり、中山町の総面積の一五パーセントにも達する。
これらの多くは、地すべり防止工事が行われ、既に完了しているところもある。
土砂災害以外の台風、大雨・集中豪雨、雪害、干害、冷害、霜害などの気象災害も、農林業関係をはじめ、土木事業などに大きな影響を及ぼしてきた。
洪水などの水災害、地震災害なども、中山町の地形や地質面から見て、大きな被害が予想される。
これらの自然災害防止のために、町行政も、防災計画を立てて懸命の努力を重ねている。