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伊予市誌

四、母子保健

 戦後の母子衛生の進展に伴い、各種の保健事業と福祉対策があいついで実施されたことにより母子保健の水準は向上したが、それを更に追求する必要から一九六五(昭和四〇)年に新たな母子保健法が制定された。本市においても、これを機会に従来の対策に増して、事業内容を充実した母子保健対策の推進を図った。
 一九九四(平成六)年母子保健の多様化するニーズに対応するため、母子保健法などの一部改正が行われ、一九九七(平成九)年母子保健事業の実施主体が愛媛県から本市に移譲されたことに伴って、妊娠・出産期・乳幼児期などの各ライフステージにおいての一貫したきめ細かなサービスの提供に努めている。

 妊産婦及び乳幼児の健康診査
 一九七〇(昭和四五)年から伊予保健所と伊予市医師団の協力を得て、乳児健康診査の定期的実施(零歳児年二回・二歳児年一回・三歳児年一回)とともに、妊産婦学級を開催し妊娠中からの母子保健教育の充実を図った。一九八〇(昭和五五)年の保健センターの設置に伴って一層の拡充に向け、四か月児・七か月児・一歳六か月児・三歳児の定期健康診査及び妊産婦を対象とした母親学級を開催するなど事業を展開している。
 一九九四(平成六)年母子保健の多様化するニーズに対応するため、母子保健法などの一部改正が行われ、一九九七(平成九)年母子保健事業の実施主体が愛媛県から本市に移譲されたことに伴って、妊娠・出産から育児まで及び乳幼児保健についての一貫したサービスの充実に努めている。

 母子栄養強化対策
 妊産婦死亡率の高い一因に妊産婦の栄養欠陥があり、出生乳児の健康や発育に大きな影響を与えることが判明していることから、栄養指導の強化にあわせて健康増進を図るため、低所得階層の妊産婦及び乳児に対して、一九七〇(昭和四五)年から、必要な栄養食品(牛乳一日一八〇cc)を九か月間無償で支給して栄養改善を図ってきた。その後の経済状況の高まりもあって、一九八三(昭和五八)年をもってその制度を廃止した。
 また、乳幼児の体位の向上を図ることを目的として、乳幼児健診の結果に基づき健康優良児を選び表彰を行ってきたが、一九六八(昭和四三)年をもって終丁した。

 母子保健推進員の設置
 母子保健の効果的な活動は、何よりも地域住民に密着し地域の実情に即応したきめこまやかな対策にあることから、母子保健推進員制度を創設、その具体化として一九七二(昭和四七)年に五三人の母子保健推進員を委嘱した。この母子保健推進員は、保健師と協力し母子の健康を守ることと、正しい母子保健思想の普及を主な任務としながら、二〇〇三(平成一五)年現在六一人がボランティア活動を行っている。

 その他の母子保健活動
 乳幼児期の健康の保持と増進を図るため、療育教室・育児講座・育児相談・離乳食講座を開設し育児支援を行っている。

 母子保健計画の策定
 一九九七(平成九)年、安心して子どもを産み、そしてゆとりをもって健やかに育てられるための家庭や地域環境づくりは、少子化対策の重要な柱であり、本市においても「子どもが健やかに成長することのできる地域社会の実現」を基本理念として「伊予市母子保健計画」を策定した。これを指針として母子保健の基盤づくりに努めている。
 二〇〇二(平成一四)年三月、母子保健計画策定から五年を経過し二一世紀を迎えた中で、止まる気配を見せない急激な少子高齢化社会に対応するためには計画の見直しを行う必要があり、取り組んできた母子保健のこれまでの成果を踏まえて今後要請される諸課題の分析や方向性について検討を加え、「新・伊予市母子保健計画『健やか親子・いよし二一』を策定した。以後、この計画に基づきながら母子保健対策の更なる充実を図っている。