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身近な「地域のたからもの」発見-県民のための地域学入門-(平成22年度)

2 地域学研究の新しい動き

 愛媛県は地域史研究が盛んな県です。市町(あるいは合併前の市町村)など一定エリアの地域史や文化を研究する団体(史談会など)は、県内に20団体以上あり、継続して定期的に講演会や研修会を開き、会誌を刊行しています。そのほかに、県全体を対象とする民俗学や考古学、地理学などの団体もあり、地域の歴史や文化に関心を持つ県民が多いともいえるでしょう。
 近年、地域史や文化を研究しながら地域学に幅広く取り組む団体が、各地域や学校で生まれています。ここでは、地域博物館とともに活動する団体と、地域をフィールドに活動する高校生の団体を紹介します。
 まず、伊(い)方(かた)町の町(まち)見(み)郷土館のサポーター組織「佐田(さだ)岬(みさき)みつけ隊」を紹介します。「佐田岬みつけ隊」は、平成17年8月に町見郷土館のサポーター組織として結成されました。平成22年9月現在で約60名の隊員がいます。
 「佐田岬みつけ隊」は、隊員が一緒になって地域博物館である町見郷土館を育てながら、地域を深く知り、楽しみ、誇れるようになることを目指して活動しています。隊員たちにとって、地域博物館は、「展覧会を見に行く施設」としてだけではなく、地域の調査研究や資料の収集保存を地域の人々と協力して一緒に進めていく活動の場としてとらえられています。
 具体的には、絵画や天井画調査、巨樹・銘木調査などのほか、石造物調査を行う「ゴロリンズ」や、昔の服飾文化を顕彰する「古箪(ふるだん)笥(す)の会」、自然観察を主とする「はちくま隊」など、分野ごとの活動もあります。活動の内容は、これまでに60号まで刊行された「みつけ隊通信」を通して、関係者はもとより町民や県内の研究者らにも広報されています。また、佐田岬半島の歴史を遺物から究明しようと石造物シンポジウムを開催するなど、盛んに活動しています。
 次に、県立新居浜南高等学校情報科学部の活動を紹介します。
 新居浜市には、別子銅山跡をはじめ、全国に誇れる様々な近代産業遺産が残されています。県立新居浜南高等学校の情報科学部では、平成11年から現在まで、これらの産業遺産を実地調査し、銅山やその関連企業で働いていた方々に取材した内容をまとめ、その成果をインターネットに掲載するとともに、学習ビデオやガイドブックを制作するなどして、情報を発信しています。
 そのような多彩な活動を通じて多くの人々と出会い、「鉱山(マイン)の学習から人と人との心の絆(マインド)が生まれたのです(Mine To Mind)。まちのすばらしさや誇りを、別子銅山の近代産業遺産を通して多くの人に伝えたい。」という思いが先輩から後輩へ受け継がれています。今では、市内の小・中学生を対象としたワークショップや一般市民を対象とした生涯学習講座の講師を、情報科学部の高校生が務めるまでになり、産業遺産を見学にきた観光客に対して、ストーリー性のあるボランティアガイドができるよう取り組んでいます。
 平成21年には、高校生が地元の魅力を国内外に発信するための観光プランを競う「観光甲子園」で、全国69校・157プランの中から準グランプリに選ばれるなど、様々なコンクールや発表会で優れた成績をおさめています。
 なお、県立新居浜南高等学校のホームページにある「銅山学習」のページで、情報科学部の活動が詳しく紹介されています(http://nmh.hearts.ne.jp/MTM/)。