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わがふるさとと愛媛学Ⅵ ~平成10年度 愛媛学セミナー集録~

◇ホタル街道で潤いのある町づくり

 私が子供のころは、川上小学校の向こうまで続いている川で泳いだり、シジミをとったり、石垣に手を入れて、魚をつかんだり、メダカを日本手ぬぐいですくったりしていました。また、洗濯物をすすいだり、足を洗ったり、御飯がいたまないように涼しい所につるして保存する竹製の「シタミ」をこの川につけて洗ったりもしていました。私は、子供心にも不思議に思って、祖母に、「洗濯と食べるものを入れるシタミとを一緒に川で洗って、汚くないの。」と尋ねました。すると、祖母は「川の水は3尺(約90cm)流れるときれいになるから大丈夫なの。」と笑っていました。私は半信半疑でしたが、安心して川の水をバケツでお風呂へくみ入れるのが、小学生のころの私の仕事でした。
 そんな川の水が、一時期ヘドロのように、水がよどみ川底が見えないようになったころもありましたが、老人会の方たちが、月2回の川掃除を続けてくださり、現在では、再び川底の見える水になっています。
 私は、なみなみとまではいきませんが、ある程度たっぷりとあり、しかも人通りの多い道路に沿った、この川の水を、なんとか生かせないものかと考え続けていました。いろいろな人にも知恵を借りましたが、何も見つかりませんでした。
 ところが、今年、それが見つかったのです。なんだと思われますか。ホタルです。数年前から、ポチポチ姿を現していたホタルが、今年はたくさんわいたように出てきました。大宮神社から川上小学校まで、この川に沿ってホタルが飛び交いました。「美しいホタルの舞なので、毎晩見に来ています。」とおっしゃる夫婦連れの方もおられました。私はうれしくて、お会いする人に、「ホタルがわいたように飛び回っています。見に来てください。」と言いつづけたものでした。私は、来年も、その次の年も、水をきれいにして、ずっとホタルを飛ばせて、この川内がホタルで潤うようにしたいのです。
 でも、ホタルが見られるのは、せいぜい1週間、長くても2週間です。1年のうちの、あとの50週近くは潤いなしでは寂しすぎます。何に潤いを求めましょうか。そうです、花に潤いを求めたらどうでしょう。そこで、平成9年度には、婦人会で500個のプランターを購入して、集会所や道路端へ置いていただきました。
 このプランターの花は、草ひきをした雑草にEM(有用微生物を混合させた培養液)やボカシをかけて堆肥となった土だけで育てたものです。このプランターの花は、郵便局の前やバス営業所前や役場前や橋の端にも置いてもらっています。「うちには上の庭がないから。」とよく聞きますが、プランターで楽しい育て方もできます。そして、素晴らしい花の街道ができるのです。
 もう一つだけ聞いてください。川の水を汚すのは、なんといっても生活排水ですが、毎日流すお米のとぎ汁や洗剤の汚水は、廃油石鹼やEMやボカシできれいな水に浄化することができるのです。とにかく、一人一人が気をつけて工夫をし、花があり、川の水がきれいで石垣もあり、そしてホタルの飛び交う潤いのあるふるさと川内にしようではありませんか。失礼いたしました。