データベース『えひめの記憶』
伊方町
高橋新吉(1901~1987)
詩人。西宇和郡伊方村(現、伊方町)出身。八幡浜商業学校(現、県立八幡浜高等学校)を卒業する直前に退学して上京するが病気のため帰郷し、療養中の大正9(1920)年、小説「焔をかかぐ」が新聞の懸賞に当選する。同年、『万朝報』のダダイズム(これまでの秩序や常識に対する、否定、攻撃、破壊を大きな特徴とする考え方)に関する記事を読み、強烈な衝撃を受ける。その後、ダダイズムの詩や小説を次々と発表し、大正12(1923)年、辻潤編『ダダイスト新吉の詩』が出版された。著者の特異な詩精神から生まれたこの作品は、当時の詩壇に大きな衝撃を与え、高く評価される。
その後、思想的に禅の世界へと傾倒していくが、禅を通して深く突き詰めて考えることから生み出された新吉の詩は、深い宇宙観を宿し、「ゼン・ポエム」として世界に紹介された。振幅の激しい破天荒な生涯の中で、独自の詩の世界を展開した哲学的詩人であった。(『愛媛人物博物館~人物博物館展示の愛媛の偉人たち~』より)
【追記】
高橋新吉墓所:泰平寺(宇和島市神田川)