丹下健三（1912〜2005）

　多くの国家プロジェクトを手がけた建築家。大阪に生まれ、大正９（1920）年から今治市で暮らす。高校時代にル・コルビュジェに傾倒し、建築家を志して東京帝国大学工学部建築学科に入学。昭和13（1938）年、大学卒業後は、ル・コルビュジェの教え子である前川國男の事務所に入り、岸記念体育館、社会事業会館の設計を担当するなどして修業した。
　昭和16（1941）年、東京帝国大学大学院に入学。大東亜建設記念造営計画（1942年）と在バンコク日本文化会館（1943年）のコンペで１等を獲得し、建築家として名を知られるようになった。昭和24（1949）年、広島平和記念公園および記念館のコンペで１等に入賞、さらに都市的な仕掛けとして、原爆ドームに到達する強力な中心軸を設定し、焼け野原となった爆心地に明快な秩序を与えた。昭和36（1961）年、丹下健三都市＋建築設計研究所を開設し、1960年代は都市計画的な仕事を手がけるようになり、未来的な都市計画ブームに火をつけた。
　60年以上に及ぶ活動を通し、急成長する戦後日本という国家を背負い、各地にランドマークとなる印象的な建築を手がけ、また、国際的に活躍する日本人建築家の先鞭をつけた。
　平成17（2005）年３月22日逝去、享年91歳。代表作に新旧東京都庁舎・代々木国立屋内総合競技場・大阪万国博覧会マスタープラン・スコピエ都市計画・フジテレビ本社ビル・愛媛県県民文化会館（ひめぎんホール）などがある。（『愛媛人物博物館～人物博物館展示の愛媛の偉人たち～』より）