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西条市

田中佐平(1801~1886)

 天保年間田中佐平は、国安村には貧農が多く、生活にも困っているのを憂い、この現状を打開する方策を求めて多年沈思熟考の末、抄紙業が最適であるとの結論に達した。彼は協力者を得るために村内の有力者にいろいろと当たってみたが、当時の世相は、農を尊び商工に就くことを卑む封建的習慣が非常に強く、同調しないばかりか、かえって佐平の情熱と積極性を投機的であると擯斥する者さえあるありさまであった。
 彼はこれに屈せずいっそう意欲を燃やし、『田中佐平略歴』(長子佐吉筆)によると、天保二年(1831)、私財を投じ、単独で抄紙を創業した。時に三十歳。素志が緒につくと、昼夜従業員とともに製紙に励み、その結果成功して収益を上げることができた。
 これを見て、村民の中に、製紙業を始める者が増加し、一時は100戸以上にも及び、村の重要産業に発展した。後には村内のみならず近村、隣郡へも波及するありさまであった。この企業には盛衰が伴うのであるが、難関に遭遇する度に、彼は私財をなげうって村の製紙業の危機を乗り越えた。(『東予市誌 P.475』から引用)

①田中佐平頌徳碑

①田中佐平頌徳碑

西条市桑村127-1、国安公民館

②「紙の里国安」解説板

②「紙の里国安」解説板

西条市桑村127-1、国安公民館