データベース『えひめの記憶』
面河村誌
二 方 言
伊予国の言葉を、しいて分類してみれば、
(一) 東予・中予の言葉
中予は、松山及びその近郊の言葉とそして久万山言葉
(二) 南予の言葉
大州地方の言葉と宇和島地方の言葉
(三) 瀕戸内海島々の言葉
伊予近海の二、三の島を除いた島の言葉は、安芸国広島言葉に近い。
◎中予のうち、小田町・中山町・広田村は肱川の支流沿いの地域で、しかも地勢上喜多郡に接近しているので大州言葉又は、それに近い。
◎久万山言葉も、仁淀川の上流であり、古来、人や物資の交流があった土佐弁の影響を受け、土佐言葉が若干入っている。
言葉は国の手形ともいった。大正時代までは、江戸弁、つまりネェ言葉(そうですね)は、伊予にはなかった。「そうですなぁ」である。伊予松山地方のなもし言葉も消え去った。今、言葉の国境は大方なくなったが、久万山地方のかつて使われた、しかも、今も残る方言の若干を記しておく。
ア アガリハナ あがり口 アゲル へどを吐く
アザトイ 粗雑である アズル 苦しむ
アツカム うるさがる アヌケ 仰向け
イ イガム・エガム 曲がる イキズム いきむ
イケズ いたずら イコロ 体のいきおい
イチマキ 一族 イッチョウライ 晴着・たいせつなもの
イデシイ 長持ちする イデル・ユデル ゆがく
イヌル 帰る イロウ さわる
インマナ・インマヨ さよなら
ウ ヴズム 抱きかかえる ウズレル むし暑い
ウドム うなる ウラツケ 休日の翌日
ウンザリスル 落胆する
エ エゲツナイ 下品な エンコ かっぱ
オ オガス 掘り起こす オキ たき火の残り火
オケンタイ あたりまえ オコツル からかう
オゴロ もぐら オジル こわがる
オトツイ 一昨日 オトミ 返礼の品
オトドイ 兄弟姉妹
カ カザム かぐ カブル かむる
キ キサジイ 手際よい キシャナイ きたない
ク クスベル・フスベル いぶす クツイ こわばった感じ
クラスマ 暗い所
ケ ゲスイタ ふろおけの底板 ケブクイ けむい
ケンド ふるい・けれども
コ コアライ 子供を育てる コイサ 今夜
ゴウタイナ 難儀な コウロク 奉仕の労働
コソバカス くすぐる コナイダ このあいだ
ゴネル むちゃをいう
サ サイキョウ 干渉 サッチニ 無理に
シ シモォタケ 今晩は ジョリ 草履
シワル 仕事が遅くまで延びる
ス スエル 腐敗する ズク 熟柿
スネグロ 田舎者
セ セガム ねだる セセカマシイ うるさい
セツク つつく セバイ 狭い
センチ 便所
ソ ソン 血統 ソンデ それで
タ タゴル 咳をする タニゴ 小谷
ダマス うそをつく ダンダン ありがとう
チ チビル すりへる チャガマル 動かなくなる
チョロイ 鈍い チョロマカス ごまかす
チンマイ 小さい
ツ ツエル 崩れる ツヤス つぶす
ツバエル じゃれる ツベ 尻
テ テガウ からかう テンゴノカァ いらんこと
ト トロクサイ うとい トンギラス とがらす
ナ ナァンチャ なんにも ナンボ いくら
ノ ノーナル 無くなる
ハ ハネガイ 互い違い ハメ まむし(蝮)
ヒ ヒダルイ ひもじい ヒンノム 飲み込む
フ フスボラス くすべる プチマス 打つ
ヘ ヘチコ 見当違い ヘラコイ ずるい
ホ ホケ 湯気 ボケナス 馬鹿
ホシテ そうして ホロケサク 馬鹿な男
マ マギル じゃまになる マッコト ほんとう
マツボリ 余得
ミ ミゾイ 短い
モ モガウ さからう モシャグル もみくちゃにする
モロブタ 餅を入れる重ね箱
ヤ ヤケハタ やけど ヤシベル 馬鹿にする
ユ ユルリ・ユルイ いろり ユンベ 昨夜
ヨ ヨモダ まじめでない ヨリ 集会
ヨンベ 昨夜
リ リグル 念を入れる・文句をつける
ワ ワヤク いたずら