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久万町誌

二 人づくり

 教育は国家百年の計といわれています。『町づくりは人づくりから』と、人間尊重の精神を基調として、生涯教育の理念に基づき、『人間性豊かな人づくり』をめざしてまいりました。
 今日の社会は、高度経済成長とともに、もろもろのひずみが生じています。福祉、公害、環境破壊、そして人間疎外等さまざまな問題が生じています。特に物質文明の中に、どっぷりとつかっている間に、人間性喪失の大変な問題を生み、エゴが横行し、甘えは増大する。権利は主張するが義務は全く考えない。このような社会が生まれたのでは、日本民族が没落してしまうのではないかと、心配でなりません。
 しかし、ようやく大切なものを失いつつあることに、気付きはじめています。いまこそ『人間性豊かな日本人の育成』をめざして、家庭教育、幼児教育、学校教育、社会教育、文化教育等々、各分野にわたる総合教育を、強力に推進すべきときと思います。
 人間性回復の場としては、農山村がもつ自然、ふるさと環境は最高のものと考えています。人間性豊かで創造力に富んだ青少年の育成に、可能な限りの努力をしたいと考えています。私はこのふるさとの久万に誇りを持ち今日までに整備をした教育諸施設(学校、文化会館、美術館、体育館、海洋センター、ふるさと村に建てた農林業体験実習館、農産加工体験実習館)の機能を存分に発揮し、さらに公民館の充実、図書館、美術館分館(創作、展示)等を建築整備し、久万町のすぐれた伝統文化を伝承し、新しい文化の創造をめざし、心身ともに健康で、愛郷心に満ちた町民を育てる決意を新にしています。