データベース『えひめの記憶』
久万町誌
六 今後の計画と対応
以上述べたように、井部コレクションは大変高い評価を受けている。そのため、その筋の人たちから全国的にも注目されている。したがって今後遠方の地から「久万美術館の作品はどうしても見たかった」と訪ねて来られるケースが考えられる。と言うことは、大切な作品を簡単に外したり、予告もなく休館することは許されない。常に意図をもったはっきりした計画のもとに展覧会を組み立てながら運営して行かなければならない。この考えに基づき、全国の美術館等にご協力を得ながら作品を借り受け、順次企画展を実現していかなければ…と考えている。
また公立美術館というものは末代まで続くものであるから、しっかりした構想のもとに館蔵品をふやしていかなければならない。単なる流行にのった有名画人を追っかけたり、値上がりを見込んで購入しようとしたりする姿勢では、美術館としての存在の意味がなくなる。こういう点でも久万美術館は、見識高い方々のご意見をいただきながら、極めて憤慨に進めていかなければならない。
井部先生はコレクションを育んで来られた中で、洲之内徹氏とは大変親密な間柄であった。洲之内氏は松山市出身で、中央で長く美術評論活動をされた方で、時にはきびしいライバルの
間柄でもあった。そういうことで井部氏のコレクションと洲之内氏のコレクションは、無二の兄弟コレクションだと言える。その洲之内氏も、井部氏と同じ昭和六二年に、相前後して逝去された。そしてそのコレクションは、縁あって宮城県立美術館に保存されることになった。久万美術館としては、この合同コレクション展を実現したいものである。