データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

久万町誌

一三 ふるさとの森事業

 ふるさとの旅行村など観光開発にも力を入れてきたが、今、一つ観光客の定着性がみられない。また、過疎の町でもあることから眠ったままの町有林を活用できないかと、知恵をしぼったのが山林の共同経営。
 町有林の役割は、以前から、地方公共団体の基本財産造成と治山、治水など公益性の確保等の使命のあることはいうまでもないが、財産造成にしても、地域社会のための水源かん養、国土保全及び地域林業をリードする林業経営技術や、労働雇用の面においても、中核的事業体としての大きい役割を果たしてきた。
 しかし、現在の町有林は材価の低迷、賃金、資材等の高騰で、以前は町財政への繰出しをしていたものができなくなり、逆に一般会計からの繰入れを必要とする事態になっており、町財政を圧迫しかねない状況になってきた。
 そこで新しい財源を摸索すると同時に都市生活者が森林、林業に対する理解を深め、更に緑のふるさとを都市と山村のかけ橋として、相互の交流と連帯を強めることが、本町の山村振興対策、特に観光開発に大きな期待をよせて、「ふるさとの森」事業を実施した。
 昭和五八年一二月、第一次ふるさとの森、三四・九九㌶、五○○口を契約、予想外に好評を博し、定数を越える事態になり、都市住民からの強い要望もあって、引続き昭和五九年三月、第二次ふるさとの森三三・○八㌶、三八二口契約。その後、大阪近畿地区及び東京関東地区懇談会を開催した時、会員の方から、是非、第三次募集の要望もあり、九・九四㌶、一〇一口を設定し募集したところ、応募者が殺到し瞬く間に売り切れ、昭和六一年一一月、第三次を契約完了した。
 第一次~三次の総口数九八三口で一口出資額三〇万円、総出資額二億九四九〇万円になったのである。
 この出資金の三分の二を「久万高原ふるさとの森基金」として運用、その益金で今後二○年間にわたる対象林分の維持管理を進め、残りは財政調整費(主に農林業振興と観光振興費)にプールして継続的に利用する。
 このふるさとの森事業は直ちに財政改善につながる規模ではないが、長年資本が固定される林業経営の資金の先取り有効活用で、林業の泣きどころが解決できる一方、このふるさとの森の会員を特定化した観光客として位置づけ、家族づれで本町へ訪れること、また、特産物の送付など、計両的生産、とりもなおさず、産業振興の波及効果に大きな期待を抱いている。

ふるさとの森会員都府県別統計表

ふるさとの森会員都府県別統計表