データベース『えひめの記憶』
久万町誌
5 農業委員会 ①
農地改革から農業改革に移行する段階において、農地委員会、農業改良委員会、農業調整委員会がその機能を統合した農業委員会として改組され、昭和二六年に新しく設置された。
これにともない委員の定数も一〇名~四〇名にまで拡大され、選挙された委員と、更に議会より推せんされた学識経験者五名以内、農協から推せんした理事一名を市町村長が選任し、農業委員とする制度がとられるようになった。
この結果、農業委員の数は大幅に増加したので、農業委員会を実情に即して適切に運営するため、新たに部会の制度が設けられるようになった。
こうして設置された農業委員会の目的は、農業委員会などに関する法律第一条に「農業生産力の発展及び農業経営の合理化を図り、農民の地位の向上に寄与する」ことと明記されている。
今次の法律改正により、農業委員会の担当事務が拡大されたが、要約すれば農業委員会の所掌事務は次のとおりである。
一、農地法の他の法令によりその権限に属させた農地、採草放牧地、または薪炭林の利用関係の調整、および自作農維持創設に関する事項。
二、土地改良法その他の法令により、その権限に属させた農地などの交換分合、およびこれに付随する事項。
三、前各号のほか、法令によりその権限に属させた事項。
四、農業および農村に関する振興計画の樹立、および実施の推進に関すること。
五、農業技術の改良、農作物の病虫害の防除その他農業生産の増進、農業経営の合理化、および農民生活の改善に関すること。
六、農業生産、農業経営および農民生活に関する調査および研究。
七、農業および、農民に関する事項についての啓もう宣伝。
八、その区域内の農業、および農民に関する事項について意見を公表し、他の行政庁に建議し、その諮問に応じて答申すること。
農業委員会が、従来の主要事務である農地事務のほか四~八までの事務を行い得ることとなったが、これは、農民に対するサービス事務を一つの重点的所掌事務として努力することを要請しているものである。
町村合併により昭和三四年五月一九日、第一回の統一選挙が行われ農業委員が誕生した。久万町農業委員会委員の氏名は次のとおりである。
農業委員会委員の数は、長く二三名であったが、第九回の昭和五八年から二〇名となり、更に、第一〇回の昭和六一年から一八名となって現在に至っている。
新しい農業委員会が発足して以来、昭和四二年までに処理した農地などの移動状況は、次表のとおりである。
このほか、農地、採草地、薪炭林の境界、その他の紛争事案により調停の申し出は八一件である。その都度現地調査を行い、関係者の立会を求めて話し合いにより解決しているが、中には調停が成立するに至らず調停裁判に持ち込むに至った事例もある。
交換分合事業については、ようやくその期が熟し、昭和三九年~四○年に東明神・下畑野川で実施し、引続いて四一年~四二年に直瀬・上畑野川でこの事業を実施し、予期以上の成果をあげることができた。
各地区における対象人員、移動面積は次のとおりである。
三九年~四〇年 東明神・上畑野川地区
対象人員 一四二名
移動面積 三、七七六㌃
四一年~四二年 直 瀬・上畑野川地区
対象人員 二三二名
移動面積 二、四四四㌃
農業委員会では農地などの取得資金、及び自作農維持資金の貸付事務を取り扱っているが、この資金の需要は年々増加していく傾向にある。
ア 農業者年金
経営規模の拡大、優秀な経営担当者を確保し、生産性の高い農業経営を育成するためには、老齢経営主の引退離農を援助促進し円滑な経営移譲が行われるようにする必要がある。
高齢に達しても、経営主の地位から引退しない農業者が多い原因のひとつに、農業者の老後の生活に不安を持っていることが挙げられる。したがって、農業者が加入している国民制度に加えて、新たに農業者の要求に応じられる年金制度を創設することにより、老後の生活の安定を助け、これによって経営移譲の促進を図ることができると考えられる。
農業者年金は、農業者の老後の安定と優秀な農業経営者の確保と経営の若返り、農地の流動化をはかり、経営の拡大をはかるという、社会保障といわば農業の近代化の両面の対応として昭和四五年に農業者年金制度が発足し、四六年一月より農業者年金基金によって、その年金業務が開始された。
この事業を円滑、かつ適確に推進するためには、地域内の実情に精通し、農業者に密着して日常活動を行っている農業委員会及び農協に、その第一戦業務を委託して進めることになった。
久万町の農業者年金の加入状況は表のとおりである。
イ 農用地利用増進事業
農地の貸し借り(農地流動化)を進め、農地の有効利用と農業生産(とりわけ土地利用型農業)の担い手を育成する運動を展開しているが、久万町でも昭和五七年度から農用地高度利用促進事業の指定を受けて、事業を推進している。
各地域に流動化推進委員(農業委員・その他)を設けて、事業の推進に努めており、農業に意欲を持つ農業者に土地利用の集積を図り、地域農業生産の再編強化をはかり活力ある農村づくりを目ざしている。
ウ 中核的担い手基準
① 農用地利用増進法(昭和五三年法律第六五号)第四条の規定により、久万町が定める農用地利用増進事業の実施方針において、同法第二項第二号イにより定められた利用権の設定等を受ける者の備えるべき要件を満たし、かつ、その農業経営における当該農用地等の権利取得後の経営面積(農業生産法人にあっては、その経営面積をその常時従事者たる構成員に属する世帯の数で除した面積)が、次に定める中核的担い手の経営規模の基準を超えていると町長又は農業委員会が認めた農家又は農業生産法人
② 近い将来①に該当することとなると、町長又は農業委員会が認めた農家又は農業生産法人
③ その他、地域の農用地等の集団化と有効利用を図るため、特に必要があると町長又は農業委員会が認めた者
④ 農地保有合理化法人(農地法(昭和二七年法律第二二九号)第三条第二項、ただし書に規定する政令で定めた法人をいう。
記
中核的担い手の要件
一、経営規模 川瀬地区 七〇a以上
その他(川瀬地区を除く)の地区 六五a以上
二、農業による所得がおおむね六〇%を超えるもの
三、自家農業に一五○日以上従事する一六歳からおおむね六五歳までの農業専従農家であっても、その者がおおむね六五歳に達するまでに専従者になると見込まれる農業後継者を有する農家。
農業委員会 1 |
農業委員会 2 |
農業委員会 3 |
昭和34年~42年度農地等の所有権等移転処理状況(農地法定第3条関係) |
農地の所有権移転処理状況(第3条関係) |
昭和34年~42年度転用農地の処理状況(第4条関係) |
昭和34年~42年度転用農地(所有権移転を伴う)の処理状況(第5条関係) |
年度別農地転用状況一覧表(第4、5条関係) |
農地転用状況(第4、5条) |
昭和34年~42年度農地(小作地)の返還処理状況(20条関係) |