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久万町誌

6 久万山の法院さん

 むかし、久万山に「赤鬼」という法院さんかおりました。とても力の強い人で、松山城のお倉の米の積み替えを、もうひとりの力持ちといっしょに見る間にやりとげてお殿様からほめてもらったこともあるということです。
 また、ある時は、石墨山の山くずれがおき、ふもとの村があわやという危機に直面したとき、赤鬼の法院さんは、なだれのように落ちてくる大きな石をひとりでつぎつぎと受けとめて、村を救ったとも言われています。
 この赤鬼の法院さんは、晩年、断食の行に入るため石墨山に登って行きました。行にはいるとき、鐘の音が聞こえなくなったら見に来てくれるように村人に頼みました。
 石墨山のふもとの本村という村には、二一日間チンチンと鐘の音が聞こえたそうです。二二日目に鐘の音が聞こえなくなったので、村人か石墨山に登ってみますと、赤鬼の法院さんは、安らかな永遠の旅に立っていました。
 今でも赤鬼の法院さんのこもっていたといわれているお堂に、普通の人よりもずっと大きなお骨があるそうです。
 そのお骨に人がさわると、必ず、お天気のいい日でも霧がたちこめて雨が降ると言い伝えられています。