データベース『えひめの記憶』
双海町誌
第一四節 厳しい生活制限
江戸時代を通して、農・工・商民は身分差に苦しめられ続けたが、その上更に厳しい生活制限も課せられていた。藩に対して特別に寄付をすれば、苗字や帯刀が許されるという、藩には都合のよい掟であった。江戸も末期になると、武士の身分まで売買されるようになり、形式的階級制度は経済面からも崩壊していくのである。
生活制限の一例として、大洲藩が布告した「禁止令」を次に挙げる。
藩政掟御倹約禁令
一、庄屋以下の家は全部草葺のこと
一、苗字帯刀(家名)は禁ずる
(但し米百五十俵を献納した者家名付けさせる)
一、帯刀は持つ事を禁ず
但し献金の上身分を調べ免じる事あり庄屋組頭町老、又無役の者でも高十石を上納する者は各一刀を所持させる刃長一尺八寸以内
一、衣類は木綿に限ること
但し身に纏う物にして微々たる物と言えども絹又は絹糸入りの物は使用禁ず又羽織袴はその資格ある人に限ること一、男女金銀銅煙管金具節櫛、髪飾一切又鼈甲類を禁ず
一、雨傘は身分ある者に限ること
但し女の日傘は白渋々引、最も乳児養い中の婦人に限り他はすげ冠笠のこと
一、一般に足袋を禁ず
但し身分のある者は格別其の内普通と言えども祝儀及び憂い事は格別のこと
一、貢米十石高を納めない者は家屋内に畳を敷くことを禁ず