データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

愛媛県史 近代 上(昭和61年3月31日発行)

四 郷土の文学

 明治維新以後、新時代の風潮は文学にもあらわれ、啓蒙戯作(げさく)文学・翻訳文学・政治小説が登場してきた。
 愛媛においては、幕末の文運継承の中に、明治九年に「海南新聞」が発刊され、明治二〇年前後、末廣鉄腸・須藤南翠・大和田建樹・中野逍遙ら、宇和島出身の人材が活躍し、明治二〇年代後半正岡子規一派、内藤鳴雪・河東碧梧桐・高浜虚子ら近代俳句の革新に邁進し、日露戦争後は桜井忠温・水野広徳ら陸海軍人小説家、冒険小説家押川春浪などを輩出した。
 こうした近代文学史上、最も大きな業績をあげたのは、子規とその一門の俳句である。最初にこれを掲げ、発生順からいえば逆になるが、和歌・漢詩・近代詩・小説などについて叙述する。