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愛媛県史 芸術・文化財(昭和61年1月31日発行)

三 愛媛美術界の現況

 愛媛県美術会は県下における最大の美術団体である。その発足の当初から全県の各団体が協力し、みんなで県展をもりあげようとの全県的な連合組織であった。これに加えて県下にはさまざまな美術団体が結成されており、県美術界の状勢は目下のところかなり複雑である。そうした実態を示す県下美術諸団体の概況は、ほぼ次のようである。
 日本画では、日本南画院会長をつとめる新居浜市出身の河野秋邨(一八九〇~)、副理事長の西条市出身の高橋立洲人(一九一四~)、同院育ちで今治市出身の桧垣朝美(一九一二~)らがおり、日展系の作家に花鳥画を得意とする周桑郡出身の黒光茂樹(一九〇九~)、松山市出身の大政穂積(一九二九~)、伊予郡出身の岡田典正(一九一六~)らがいる。また、無所属で水墨画を得意とする高野山生まれで東予市育ちの穐月明もいる。
 洋画では、日展で活躍の松山市育ちの寺坂公雄(一九三三~)、八幡浜市出身の山田茂人(一九二九~)、伊豫市出身の佐川忠金(一九二七~)らが光風会に所属。東宇和郡出身の井上和(一九一九~)、八幡浜市に住んでいた工藤和男(一九三三~)、八幡浜生まれの上田太郎(一九三四~)らは創元会に所属。春陽会に西条市出身の越智雄二(一九一八~)がいる。二科会には同じく西条市出身の今井ロジン(一九〇九~)、北九州生まれだが北宇和育ちの高島功(一九〇三~)がおり、朔日会会長の羽藤馬佐夫(一九一四~)は今治市生まれで、夫人の淑子(一九二四~)も同会で活躍。純具象美術協会会長に松山市生まれの徳本立憲(一九一八~)がおり、女流美術協会に松山市生まれの土田次枝(一九〇二~)、新世紀美術協会に大洲育ちの浅井政勝(一九〇六~)、日本画・洋画を自由に歩む宇和島市生まれの浜田泰介(一九三二~)らがいる。
 版画では、日本版画協会名誉会員で素朴な山男シリーズで知られる北宇和郡三間町出身の畔地梅太郎(一九〇二~)がいる。

表1-3 全県的な美術家団体一覧1

表1-3 全県的な美術家団体一覧1


表1-3 全県的な美術家団体一覧2

表1-3 全県的な美術家団体一覧2


表1-4 地区別グループ団体一覧

表1-4 地区別グループ団体一覧