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愛媛県史 学問・宗教(昭和60年3月31日発行)

三 語(単語、語詞)の生活

 ひめライス

 伊予路を行く。あちこちで、下図の看板が見られる。愛媛のお米はよいお米と、くふうして名づけたのがこの新名であろう。「愛媛」の「媛」をとって愛らしい。それに、今はやりのことば、「ライス」をつける。かろやかである。かくしてすっきりとした新単語ができた。
 人は、人々は、このように、語詞を創作していく。
 特別のばあいは別として、ふつうは、だれが言いはじめたともなく、しぜんに、暮らしの中で、ことば(語)がつくりあげられていく。

 造語の生活

 「しまっておく」を「シノベル」と言うのは、南宇和郡などである。(宮崎県のほうにもこれがある。) 南予に広く、「はいる」の「ハマル」が言われていよう。「ガイニ」(ひどく)も、南予の人が上手にこしらえたことばである。「ツキヤイウシ」(闘牛)などのことは、言うまでもない。真珠養殖では、しぜんに「タマイレ」(たま入れ)などのことぽかつくられた。
 一語一語が、みな、暮らしを語る。今治弁などの「コンニ」(しきりに 魂をつめて)一つも、努めるさまをしみじみと語る。
 宇摩郡に行けば、紙すき関係の語詞が多く聞かれる。原料のこうぞ・みつまたを合わせて「クサ」と言う・こうぞだけなら「マソ」である・みな、紙つくりのしごとの奥深さ・心づかいをものがたっている。