データベース『えひめの記憶』
愛媛県史 学問・宗教(昭和60年3月31日発行)
はじめに
つぎのことを申し述べておきたい。
その一 私は、この原稿を、みなさんとごいっしょに書きあげていきたいここちです。みなさんのどなたもが、愛媛の方言に生きていらっしゃるかただからです。
その二 すでに多くの研究家が、愛媛の方言について、その研究を発表していられます。柳田征司氏は、昭和五七年一一月に、『愛媛県方言関係文献目録稿』(B5 二〇ページ)をまとめられました。今までの研究結果を仰ぎつつ、しごとをしていくことが、だいじだと考えます。
その三 以下の本文中での書きかたについて、一つ、おことわりをしておきます。
イヨコトバ
などと、片かなのそばに棒線を引きましたら、そこは、高い音であります。(アクセントの高・低をあらわすのに、「高い所へ傍線」という方法をとります。)
矢印の符号は、音が上昇することをあらわします。
その四 「方言」ということばについても、おことわりをしておきます。人が、「愛媛の方言」と言ったばあいは、愛媛のことばの全体をとって、方言と言っています。ところで、人がまた、「かたつむりの方言」などと言ったばあいは、「デンデンムシ」とか、なんとかの、一つの名まえを言っています。方言ということばには、二とおりのつかいかたができています。「伊予ことば」とか「伊予弁」とか言ったばあいにも、同様なことがあります。