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愛媛県史 教 育(昭和61年3月31日発行)

4 地域婦人会の結成

婦人教育の振興

終戦とともに大日本婦人会は解散し、市町村における一般婦人の組織は空白となった。当時の政府にとっては、国民大衆の「人心の安定」こそ緊急の課題であった。昭和二〇年一〇月三一日付で、文部省は、すでに確定的となった婦人参政権の実現に対処する目的で、政治経験を持たない婦人たちに良識ある公民としての自覚を求め、「婦人教養施設ノ育成強化二関スル件」の通牒を発した。それは、「公民教育の徹底」と「新しいリーダーの養成と自主的な婦人団体の育成」を目的としていた。
 更に、同年一一月六日に「社会教育振興二関スル件」が文部次官通牒として全国の地方長官と学校長に対して出された。この次官通牒は、地方長官宛において「青少年団体及婦人教養団体等ノ速急ナル設置ヲ勧奨スルト共二其ノ健全ナル育成二努メラレタキコト」と、「町内会・部落会等ノ常会ヲシテ社会教育ノ場タラシムル様指導セラレクキコト」を、また学校長宛においては「家庭教育二関スル講習会・婦人二対スル特別講座ヲ開設シ斯教育ノ振興二資スルコト」を指示した。また同二一年一月二八日には、文部省は民主的婦人団体の結成を奨励すべく「婦人団体の運営について」の局長通達をも流したのである。

終戦直後の婦人会活動

こうした政府からの働きかけを受けて、本県でも同二一年から二二年にかけて、各種の婦人団体が結成されていった。なかでも新日本建設・民主主義化の徹底・国民道義昂揚・経済生活安定等を目標に掲げた地域婦人会が、県下各地に急速な勢いで結成されていった。そして同二二年一二月一日には愛媛県連合婦人会(連絡協議会的な性格のものであったが)が結成され、同胞援護・洋裁講習・指導者養成・新生活運動に取り組んでいった。これらの活動の外、単位婦人会の活動としてPTA結成、公民館設置運動等への積極的な取り組みが見られたのである。
 当時の地域婦人会の活動を知るために、同二四年一〇月に実施された宇摩郡内の婦人会の活動状況を見てみよう。

  二名村婦人会ー小学校運動会参加・敬老会 金生村婦人会ー共同募金・パンと甘酒速成作り方講習 上分村婦人会ー染物講習会 妻鳥村婦人会ー運動会・共同募金・敬老会・講演会(日本社会事業の概要)、講座(農村の重な病気及予防について) 三島村婦人会ー運動会・共同募金・秋祭・街頭募金・共同募金素人演芸会・結婚改善実施委員会 寒川村婦人会ー講演会(民主主義について)・共同募金 豊岡村婦人会ー小中学校運動会に於いてバザー利益金を共同募金とす 小富士村婦人会ー栄養料理講習会・映画の夕(真実の力) 蕪崎村婦人会ー結婚改善協議会・小学校落成準備に協力・小学校運動会参加・秋祭利用共同募金 天満村婦人会ー小学校運動会参加・調理法講習会 土居村婦人会ー敬老会・小中学校運動会参加・共同募金協力 関川村婦人会ーカマド改善講習会・小中学校運動会参加

 ところで、民主団体として誕生した婦人団体であったが、なお「役員や幹部にのみ依存し、又役員や幹部のみが活躍して会員と遊離し、又過去の封建的な婦人会に対しての反感がぬけ切らず、新しい団体に切り加えられたその動きに目をとじている婦人達」が多く、その組織運営面に多くの課題を抱えているものが多かった(「社会教育の概要」、昭和二五年)。そこで、県社会教育課は、民主団体としての婦人団体の育成に主力を注ぎ、県下一二か所で婦人団体育成協議会を開催する一方、一般会員へ定例会議模範二、〇〇〇部、同改訂版一、〇〇〇、特別委員会・接待委員会・推薦委員会各一、〇〇〇部の指導パンフレットを配布していった。また婦人の政治教育の向上を目的とした政治教育指導者講習会を県下四か所で開催するとともに、各郡市婦人団体で政治教育委員を選出し、それらの人達による婦人政治教育委員連絡協議会を開いている。更に台所改善指導講習会を県下三か所で開いたり、各町村婦人団体・その他の婦人団体・婦人クラブ等各種の婦人団体についての基礎調査を行ったりしている。

地域婦人会と婦人学級の推移

地域婦人会及び婦人学級の単位数・会員数の推移を見だのが、表3ー15である。昭和二四年度は婦人会は二七八、会員数一六万一、二九九名を数えていた。同二六年度には県連合婦人会が機関誌『えひめの婦人』を企画・発刊し、翌年度には文化・厚生・産業の三部門を設けて、活動を進めていった。この年度には県教育委員会は婦人団体指導者講習会を県下九〇か所で開催し、更に婦人学級の全町村設置を目標に、県下一二か所に研究婦人学級を指定し、研究協議会を行っている。その他生活改善モデル部落婦人会を指定し、生活改善運動の推進に努めている。
 同二八年度は婦人団体の指導者育成、婦人学級の設置及びその振興、生活改善運動の推進が重点施策として行われていったが、なかでも結婚改善運動が全県的な運動にまで発展しつつあった。以後、新生活運動の推進に力点を置きながら、その課題解決の進め方として共同学習活動を積極的に取り入れ、婦人学級活動をも活発に行っていった。また青少年の健全育成・コミュニティづくりに向かって活発に取り組んでいる。

表3-15 愛媛県における婦人会・婦人学級の推移

表3-15 愛媛県における婦人会・婦人学級の推移