データベース『えひめの記憶』
愛媛県史 社会経済4 商 工(昭和62年3月31日発行)
二 戦後の金融法規及び制度の変遷
戦後の金融制度の整備と充実
昭和二四年(一九四九)から同二九年にかけての六年間は、戦後の日本において法制上の金融制度の整備と充実の時期であった。まず昭和二四年に公布された国民金融公庫法は、銀行やその他一般の金融機関から資金の融通を受けることが困難な国民大衆に対して、必要な事業資金の供給を行うためのものであった。次いで昭和二五年に公布となった住宅金融公庫法は、健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設及び購入に必要な資金を融通することを目的としており、また同年に公布となった日本輸出入銀行は、貿易を主とする経済交流の促進のためであった。さらに翌昭和二六年には、産業の開発と経済社会の発達を促進する目的で日本開発銀行法が公布された他に、相互銀行法が国民大衆のための金融の円滑と貯蓄の増強を目的として制定されたのに対して、協同組織による信用金庫制度の確立を目的として信用金庫法が同じ年に公布された。
次いで翌二七年には、長期金融の円滑をはかるために長期信用銀行法が公布され、これに加えて、農林漁業の生産力の維持増進に必要な長期且つ低利の資金を融通するために、農林漁業金融公庫法が公布された。さらに翌年の昭和二八年に入ると、中小企業の円滑をはかるための中小企業金融公庫法と、労働組合・消費生活協同組合の福利共済活動のための金融の円滑をはかる目的で労働金庫法が公布された。そして翌年の昭和二九年には、外国為替取引及び貿易金融の円滑のために外国為替銀行法が公布されて、ここにひととおりの金融制度が整備されることとなった。