データベース『えひめの記憶』
愛媛県史 社会経済2 農林水産(昭和60年3月31日発行)
二 開拓者連盟
開拓者の同志的結束
戦後、緊急開拓事業が重要施策としてとり上げられ、本事業に直接鍬を振るって未墾地の開墾に従事した開拓農民は、既成農家の経営形態に達するまでには、幾多の迫害と窮乏に耐える忍耐力が要求された。これらの忍耐力の成果が新しい農村建設へと発展するには、政府の適切な助成と相まって、開拓者自体の同志的結束が必要とされた。開拓者連盟は、その声に応えて設けられた結社であって、東京に本部をおき、各県に支部を設置し、主として開拓事業促進のためのあらゆる政治活動を行なった。
開拓者共通の観念は、開拓を通じて、戦いに破れた祖国の再建であった。食糧の自給態勢の確立は、わが国復興の重要課題であり、「我々は、従来全く省みられなかった末墾地と正面から戦いにいどみ、これを征服して、祖国の再建を図り、民族の繁栄を願う聖なる戦いである。」との理想のもとに、海外引き揚げ開拓民を中心に、復員者・転業者等、身をもって大戦の犠牲を蒙った無一物の人びとで組織された。
その活動は、必ずしも活発とはいえなかったが、国費による開拓者資金の融通、または入植者にたいする各種の補助獲得については、農林省当局と密接な連けいのもとに根強い政治運動を続け、これが開拓事業予算に表れた成果は顕著であった。
本県支部では、県開連がその組織となり、各方面へ働きかけ成果を上げた。