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愛媛県史 社会経済2 農林水産(昭和60年3月31日発行)

四 農兵隊の編成


 農兵隊による食糧増産

 日中戦争から第二次世界大戦に突入し、戦線は中国大陸・アリューシャン・フィリッピン・マライ半島・ビルマ・カロリン諸島・ボルネオ島・スマトラ島・ジャワ島を始め、周辺に一段と拡大して、軍人・軍属の動員もその数を増し、農村の労力不足は極度に達したので、政府は農業要員の指定制度を設け、これが確保に努めることとした。
 即ち、昭和一九年四月、高等小学校を卒業した一五歳から二〇歳ぐらいまでの者で農兵隊を全国各県で編成し、個人の訓練と機動性をもって農村労力の調整を図ることとした。本県では、総員約五〇〇人を五箇中隊に編成し、訓練期間・活動期間の二期間に分けて、一意食糧増産のための協力作業が行なわれた。
 これらの隊員は、無報酬で水害地の復旧工事や農耕適地の開拓、土地改良等を移動訓練と併行して県下各地で活発な活動を展開した。翌二〇年には、これを更に増員し、一、五〇〇人を一〇箇中隊に編成し、都市からの農村疎開者の不慣れな開墾作業を応援するなど、前年度に引き続いて活発に事業を推進し、その成果には見るべきものがあったが、終戦によって解隊するに至った。