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愛媛県史 社会経済1 農林水産(昭和61年1月31日発行)

第四節 畜産関係団体・機関


 産牛馬組合

 産牛組合または産牛馬組合は、牛馬の改良および組合員の共同利益増進をはかるため、明治三三年三月産牛馬組合法(法律第二〇号)の公布により、設立の機運が高まりつつあったが、折から日露開戦を契機に一層畜産の振興をはかるため組合の設立が急務となった。
 そこで本県では明治三七年一二月二六日に初めて南宇和郡産牛組合が設立されて、獣医師を招聘して盛んに畜牛の改良を企てたのをはじめとし、翌三八年一月二三日温泉郡産牛馬組合の設立認可を見るに至ったが、畜産事業は一時の勤勉によって、これを速成することは不可能である如く、産牛馬組合の設立もこれをにわかに望むべくもないことを知ると共に、戦後の農業経営上に畜産の発展をはかることは不可欠の急務となった。

 愛媛畜産会の創立

 このような状況からしばらく官民の中間に立って畜産業の誘族指導する機関が必要であることから、本県技手浅井審・伊達朔次郎・門田文治郎・関谷吉氏などが発企となり明治三九年二月一一日の紀元節の嘉辰を選び発会式を挙行し、各郡の有力なる畜産家、獣医師など三七名が参加して直ちに創立を可決し、西田本県事務官を会長に推し、越智茂登太(周桑郡中川村)を副会長に挙げて会則の遂行に努めた。大正二年二月の総会において産牛馬組合の設立は八郡に達し、その他の郡も設立認可の手続き中であり、室だこの年の六月には県連合会も発足することになったので、同会の目的はほぼ達成せられ大正二年六月末日を以て解散することになった。

 畜産組合の設立

 その後大正四年一月一四日、法律の対象家畜を従来の牛馬から牛馬羊豚に拡大した畜産組合法(法律第一号)が公布されたので、従来の産牛馬組合はそのまま「畜産組合」と名称を変えた。従って次に当時の産牛馬組合表を掲載するとおり、大正五年二月二日設立の宇摩郡は産牛馬組合を経ずして畜産組合として発足することとなった。

 農業会との統合

 その後第二次世界大戦中の昭和一八年一二月二七日県農業会に統合して県・郡農業会の畜産部(課)として活躍した。

 畜産組合として分離

 戦後二三年農協四連の設立に際し西宇和郡並びに喜多郡に郡畜連が設立せられていたことから、二九年の経済連の整備促進体制確立に対応して一二郡畜連と県畜連が分離独立することとなった。しかし郡畜連間の組織財政基盤の格差は大きく、家畜商との連帯性にも強弱があり、全県一体、広域的な機能発揮にも困難が伴い、加えて財源の主流であった肉用牛の不振あるいは畜産物の共同出荷、飼料の販売などで経済連との競合もあって問題となっていた。

 畜連の経済連との合併

 このため農基法農政の選択的拡大に対応して畜産の生産振興を促進するため、累次の農協大会などにおいて畜産、青果事業の確立とその大同団結、合併が要請せられていた。しかし合併にも対等、吸収論議や歴史や伝統に生きんとするものもあり、曲折はあったが、時流に棹さす適正な決断により、昭和三六年四月一日両連の統合、合併が行われ、雨降って地固まるの如く、経済連への統合後の畜産は画期的な発展をたどることになる。

 酪農団体の歩み

 戦後の急速な酪農の発展と共に各地に酪農組合(酪農協)の結成がみられた。まず昭和二二年設立の河南酪農組合(任意)を母体に東・中予地域の合併を重ねた愛媛酪農協、二三年設立の北宇和酪農組合→南予酪農協、北温ミルクプラント→北条市農協(酪農部)、二六年設立の東宇和酪農協→東宇和酪農協連合会→野村町農協(酪農部)、同二六年に地区内三任意組合で結成した東温酪農協、二八年郡内任意組合を統合の喜多酪農組合、三三年東宇和酪農協宇和支部を再編した宇和酪農組合(任意)→宇和町農協(酪農部)、三二年設立の温泉青果農協(酪農部)および古い歴史を持つ中島の酪農組合(任意)、順次統合した中島青果農協ら九つの酪農関係組合が牛乳の共販体制を確立し、積極的な酪農事業を推進するため昭和四〇年一〇月愛媛県酪農業協同組合連合会を設立、四一年四月には指定生乳生産者団体として指定を受けて生産牛乳の一元集荷、多元販売を確立した。また各単位組合の実施していた諸事業の統合、さらに四国乳業株式会社を設立して一層の団体強化がはかられた。

 畜産会の歩み

 昭和三〇年一一月七日創設が決議され翌三一年一月二八日創立の運びとなった社団法人畜産会は主として畜産コンサルタント事業を通じて、畜産経営の改良発達をはかり、畜産振興に寄与することを目的とし、行政補完の旗印を高く掲げて三〇年の変遷を経て今日に至った。その間畜産会の強化充実をはかるべく、畜産基盤の強化対策にも積極的に取り組んで昭和四九年度第三六回より本会が主催し、各種付帯事業を加えての総合共進会を一一回にわたり開催するほか、五〇年度より飼料用麦やサイレージの推進指導など国内産飼料資源増強指導事業などを加えて畜産会事業の三本柱とし、さらに食肉供給予測調査事業、畜産経営改善資金融通推進指導事業、産業動物獣医師確保特別修学資金給付事業など多くの畜産指導事業を実施すると共に組織財務の強化確立についても、当初の県域会員七から市町村、農協の会員を得て一〇八会員となり自主財源も大きく向上して総合的団体としてその活躍が期待されている。

表3-10 愛媛県畜産組合一覧

表3-10 愛媛県畜産組合一覧