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愛媛県史 社会経済1 農林水産(昭和61年1月31日発行)

二 かんきつの生産調整関連施策


 品種更新・転換等関連事業

 愛媛県では、温州ミカンの過剰化以前に、夏ミカンの需要不振があり、その対策として四四年から四八年まで五年間、県単独事業で「夏ミカン品種更新促進事業」(総事業費六億五、三八三万円、うち県費補助三億二、六二六万円)を実施し、酸っぱい夏ミカンから他の品種への更新がはかられた。四七年の価格暴落以後、温州ミカンの過剰化が問題となり、国は四九年度から「改植等促進緊急対策事業」を開始、愛媛県では、それをうけて五三年までに五億五五〇万円の補助で温州ミカン五六九haが改植された。またそれと併行して、県単独事業で「晩柑類等産地育成事業」が五〇年度から実施され、五二年度までに三億四、〇〇〇万円の補助で二、八二三haを対象に高接用穂木代の助成などが行われた。
 温州ミカン園の転換事業は、次第に国の果樹施策の中心に位置づけられ、とくに五四年度から五八年度にわたる「温州ミカン園転換促進事業」は、全国三万haの温州ミカンを改植または高接しようとするものであった。愛媛県でも、補助金二三億円で四、一七六haの温州ミカン園が転換された。さらに、ミカンの品種更新の進展にともなって、かんきつ園地の生産基盤整備、栽培の省力化、地力増強による品質向上などの事業を実施して、かんきつ園地の再整備をはかることをねらいとした「かんきつ園地再整備促進事業」が五三年度から実施され、愛媛県でも五三年度から五六年度までに一二億四千万円の補助で作業道やモノレールなどの整備が行われた。これらの諸施策を主体にして、愛媛県のミカンの更新は広い地域で積極的に進められるようになった。

 果実生産出荷安定事業

 ここしばらく温州ミカンの供給過剰が続くと予想されることから、国は、五〇年度から、生産から流通・加工にわたる需給安定対策を強力かつ弾力的に推進するため、中央と府県にそれぞれ「果実生産出荷安定協議会」およびこれまでの「加工原料用果実価格安定基金協会」を改組拡充した「果実生産出荷安定基金協会」を設立し、生産者団体が構成する協議会の決定に基づき、基金協会が事業を実施することになった。
 愛媛県でも、五〇年九月三日に「県果実生産出荷安定協議会」、一〇月三日に「県果実生産出荷安定基金協会」が設立され、直ちに業務が開始された。県果実生産出荷安定基金協会の業務内容は、温州ミカン計画生産出荷促進事業、改植等農家経営改善資金利子補給事業、加工原料用果実価格安定対策事業およびこれらに付帯する業務で、従来の県加工原料ミカン価格安定基金協会の業務内容が拡充されたことにともない、基本財産を新たに造成することになった。
 なお、果樹に関する県単独事業の項目については、『資料編社会経済上』二四六頁39果樹に関する県単独補助事業実績を参照されたい。


表7-11 かんきつ園改植転換関連事業

表7-11 かんきつ園改植転換関連事業