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愛媛県史 社会経済1 農林水産(昭和61年1月31日発行)

三 ミカン出荷組織の現状


 ミカン出荷組織

 愛媛県のミカン出荷組織は、戦後の復興期、発展期を経て、構造改善事業、農協合併、組織紛争、過剰化と価格低迷など多様な試練に遭遇しながら、五〇年代に入って一応の確立を遂げたものとみられる。愛媛ミカンの出荷経路は、図7-1に示したように、六ルートに分類できるが、その中で、県青果連系統の出荷組織は、県下でもっとも強力なものである。八青果農協と一連合会で組織され、県外出荷量のほぼ八〇%を掌握するといわれる。県連段階に大規模な果汁工場を、六青果農協(連合会を含む)に缶詰工場を持つ。ついで県経済連系の出荷組織があるが、南宇和郡、宇和島市、松山市、北条市、新居浜市といったミカン生産者をかかえながら青果連に加入していないところの農協が主体になっている。その他に、青果連にも経済連にも属さずに、単独で市場出荷を行っている単位農協もあるが、五五年末に三崎町農協が西宇和青果農協に加入したことで、現在は御荘町のマルエム青果農協がおもなものである。

 青果連系出荷組織

 前掲の県青果連系統の出荷組織をさらに詳しく眺めてみると、図7-2のように、三つのグループに分類することができる。一つは、青果専門農協であって、原則として果樹生産者で組織されているものである。ただし温泉青果農協は、総合農協を吸収合併した地区があるため、非果樹農家も組合員となっている。二つは、総合農協(ないし園芸農協)といった単位農協によって組織された連合体で、越智園芸連がそれである。三つは、青果農協という名称を掲げているが、実質的には総合農協とまったく同じ事業を行っているもの。果樹地帯の長浜青果農協、中島青果農協がこれに含まれる。このグループは、組合員に非果樹農家を含む。なお西宇和青果農協の支部が、ほぼこれと同じ形態である。



図7-1 愛媛県におけるミカンの出荷組織

図7-1 愛媛県におけるミカンの出荷組織


図7-2 県青果連系出荷組織の構成

図7-2 県青果連系出荷組織の構成