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愛媛県史 社会経済1 農林水産(昭和61年1月31日発行)

一 四七年の暴落とミカン危機


 三五〇万t時代に突入

 四三年に二〇〇万tを超えたミカンの全国生産量は、四六年まで二五〇万t前後で推移するが、四七年にいたって、生産量は一挙に三六五万tと三五〇万t時代に突入、その結果、東京市場の平均価格は、前年対比六五%、㎏当たり六〇円まで暴落した。この四七年の暴落は、以下の理由で、四三年の暴落以上に深刻な影響を及ぼした。まず第一に、四三年の暴落の原因の一つに低品質があげられたが、四七年産ミカンの品質はむしろ優れており、「うまいミカン作り運動」に励んできた生産者や関係者に大きなショックを与えた。第二に、四三年暴落では、生産費より手取り価格が多少上回り、赤字にはならなかったが(全国、愛媛県平均)四七年の場合、手取り価格が生産費を下回り、完全に赤字となった(とくに普通温州)。第三に、翌四八年のオイルショックで生産費が大幅に上昇し、二年連続赤字を記録した。このことから、四七・四八の両年は、生産者に決定的な打撃を与える時点になった。
 表7-1、7-2に示したように、五〇年以降、全国および愛媛県平均のミカン経済収支は、価格の低迷と出荷経費の上昇などで、ほとんどの年で販売価格が生産費を下回り、赤字を記録している。特に、五〇年、五二年、五四年などの状況は深刻である。このような経済収支の悪化と需給見通しの暗さ、さらに四六年のグレープフルーツの自由化などを反映して、生産者の危機意識は次第に強まってくる。



表7-1 ミカン生産費、販売価格、労働報酬の動向 (全国平均)

表7-1 ミカン生産費、販売価格、労働報酬の動向 (全国平均)


表7-2 ミカン生産費、販売価格 (愛媛県平均)

表7-2 ミカン生産費、販売価格 (愛媛県平均)