データベース『えひめの記憶』
愛媛県史 社会経済1 農林水産(昭和61年1月31日発行)
二 盛口の小ミカン
越智郡上浦町井口二、二〇五番地の菅権八(一八九五―)の庭先の畑にある小ミカンは、古株を中心に内円に五株、外円に二八株が二重の円形となって叢生している。樹齢は二〇〇~三〇〇年と推定され、親株からとり木して、各株はそれぞれ独立し、樹勢は旺盛である。現在の畑は昭和二年に地揚げ盛土している。親株から延びた枝が地上に根を張り、面積四aに及んでいる。よく実る年は一本で一、二〇〇~一、五〇〇kgとれるという。昔は亥の子に小ミカンを使ったので、地元は勿論広島の大長から老人が毎年買いに来た。年産二〇~三〇tの小ミカンがあった。(昭和二五年一〇月二〇日、愛媛県天然記念物に指定)
小ミカンは、県内各地に老木があった。終戦当時調査した際にも大三島や大島のほか、松山市の東野、長浜町の今坊、双海町の下灘、伊予市の上野と唐川、吉田町の立間、八幡浜市の日土などで目撃することができた。(愛媛県果樹園芸史)