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愛媛県史 社会経済1 農林水産(昭和61年1月31日発行)

二 食糧・軍需農作物の増産


 米穀の増産

 昭和一四年一月に農林省の召集で米の増産に関する初の都道府県主任技術官会議が開催され、山間高冷地、東北寒冷地帯を対象とした温床苗代の設置奨励と、全国を対象とした病虫害防除の奨励(薬剤撒布の徹底、誘蛾灯の普及)を二大項目とした地方別、市町村別、集落別の耕種改善規準の策定と集団指導の方針が決議された。
 この方針により、県は同年九月に米穀増産奨励規程(資料編社会経済上五二頁)を定め稲熱病、螟虫の防除、増収競技会の開催、増収実地指導地の設置、部落実行団体の増産に関する施設などに対して奨励金を交付し、続いて翌一五年一月に次の増産要項を策定し本格的な米の増産運動を開始した。

       米穀増産要項(愛媛県経済部昭和一五年一月)
  一、耕種改善実践実行組合競技会の開催
   農事実行組合別の耕種改善規準を標準とし、品種、苗代、本田その他耕種改善上の必行事項につき、組合別の実践成
   績により県下全市町村(稲作なき町村は除く)につき競技会を開催し優良町村を決定表彰する。
  (一)実行小組合競技会賞金助成費二五、〇〇〇円 一市町村一〇〇円二五〇町村分 一等三〇円一点 二等一五円
    二点 三等一〇円四点
  (二)優良町村表賞
  二、耕種改善実行督励員設置並に活動促進施設
   耕種改善実行督励員には、県下の実行小組合長を任命し、各郡市をして年二回、督励員を参集せしめ研究協議会並に
   講習会を行う。経費二五、七二〇円(手当一人五円、五千人分二五、〇〇〇円、研究協議会並講習会助成費七二〇円)
  三、耕種改善実践巡廻指導班設置費 四、八〇〇円
  四、改良苗代及育苗法其他講習会経費 九、六〇〇円
  五、共同並集合苗代改善施設奨励経費 五、〇〇〇円
  六、作付面積維持並増加に関する施設経費 二〇、〇〇〇円
  七、水稲多収品種共同採種圃設置奨励経費 一、八〇〇円(共同採種圃設置面積九〇町 反当二円助成)
     指導品種 愛知旭 相徳 江晩五号 東山二一号 亀治三号 中弁仙二一四
  八、改良田植用品購入助成経費三、〇〇〇円、面積一〇町歩以上の集団地の共同田植に一組合四器(一ヶ五円の半額)
   三〇〇組合分

 主要七農作物の増産

 病虫害の防除に重点をおいた稲作の増産奨励に続き、昭和一四年四月に、農林省は米のほか甘藷・馬鈴薯・苧麻・大麻・亜麻・繭の七作物につき、目標を明示した総合的な増産計画を樹立し、各府県に増産の割合量を指示した。この割当に従い県は米一〇六万石目標(対平年作の六%増)の増産計画を立て、これを郡別に割当て、郡は市町村別に、市町村は部落団体別に増産の目標を示した。
 いらい主要農産物の増産計画は総て同要領による割当制が採られるようになったが、昭和一六年度の増産計画からは、末端の生産者にまで具体的な増産数量が示される戸別割当制が実施されるようになった。